2BC 第1章

式と証明・高次方程式

式を見て思うこと〜定番の発想パターン集〜

Point 2BC 1.1.1 【重要】特徴のある式を見たときの発想パターンまとめ
式変形で手が止まったら,次の3つを思い出す。
① 式の特徴に合った処理をする(=下のパターン集)

② 次数を下げる

③ 文字を減らす
対称式 \(x,\ y\)を入れかえても変わらない式 → 基本対称式\(x+y,\ xy\)で表せ! \[x^2+y^2=\class{mathkuu}{\underline{(x+y)^2-2xy}},\qquad x^3+y^3=\class{mathkuu}{\underline{(x+y)^3-3xy(x+y)}}\] 3文字なら基本対称式は\(x+y+z,\ xy+yz+zx,\ xyz\)。 \[\begin{aligned} x^3+y^3+z^3-3xyz&=\class{mathkuu}{\underline{(x+y+z)}}\\ &\quad \times\class{mathkuu}{\underline{(x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx)}} \end{aligned}\] 同次式 各項の次数がそろっている式 → \(\dfrac{x}{y}=t\)とおいて1文字に!

ex.) \(y\mathrel{\bcancel{\mkern-8mu=\mkern-8mu}} 0\)のとき,\(2x^2-5xy+2y^2>0\) の両辺を\(y^2\)で割ると \[2\left(\dfrac{x}{y}\right)^2-5\left(\dfrac{x}{y}\right)+2>0\ \Longrightarrow\ \class{mathkuu}{\underline{2t^2-5t+2>0}}\] 相反式 係数が回文(トマト・しんぶんし型) → \(x+\dfrac{1}{x}=t\)とおけ!

ex.) \(x^4-5x^3+8x^2-5x+1=0\) (\(x=0\)は解でないので)両辺を\(x^2\)で割ると \[\left(x^2+\dfrac{1}{x^2}\right)-5\left(x+\dfrac{1}{x}\right)+8=0\] \(x+\dfrac{1}{x}=t\) とおくと \(x^2+\dfrac{1}{x^2}=t^2-2\) だから,\(\class{mathkuu}{\underline{t^2-5t+6=0}}\)

※逆数の和 \(\left( ○+\dfrac{1}{○}\right)\) は相加相乗とも相性がよい(Point1.1.4)。実際に使う場面はPoint1.4.3の(iv)で。

分数式 → 割り算して(分子の次数)\(<\)(分母の次数)の形にせよ! \[\dfrac{x^2+1}{x-1}=\dfrac{(x-1)(x+1)+2}{x-1}=\class{mathkuu}{\underline{x+1+\dfrac{2}{x-1}}}\] サイクリックな式 \(x\)と\(y\)を入れかえるともう一方の式になる → 辺々\(\pm\)せよ!

ex.) \(\begin{cases} y=x^2-2x\ \cdots①\\ x=y^2-2y\ \cdots②\end{cases}\) について,\(①-②\) より \[y-x=(x^2-y^2)-2(x-y)\ \Longrightarrow\ \class{mathkuu}{\underline{(x-y)(x+y-1)=0}}\] 比例式 → \(=k\)とおけ!

\(\dfrac{A}{B}=\dfrac{C}{D}=\dfrac{E}{F}=k\) とおけば \(A=kB,\ C=kD,\ E=kF\) となり,分数が消えて扱いやすくなる。

※チェバ・メネラウスなどで出てくる\((分数)=(分数)\)も,「比」とみる感覚を持とう
Point 2BC 1.1.2 対称式
\(x,\ y\)の式で,\(x\)と\(y\)を入れかえても同じ式になるものを対称式という。対称式ときたら・・・

基本対称式\(x+y, xy\)で表せ!
ex.) \[\begin{aligned} x^2+y^2&=(x+y)^2-2xy\\ x^3+y^3&=(x+y)(x^2-xy+y^2)\\ &=(x+y)^3-3xy(x+y) \end{aligned}\] ※3変数\(x, y, z\)の場合は、基本対称式\(x+y+z, xy+yz+zx, xyz\)で表す!

※対称式は,すべて基本対称式で表せることが知られている。
Point 2BC 1.1.3 相反式は\(x+\frac{1}{x}\)をかたまりで扱う!
相反式ときたら・・・\(x+\dfrac{1}{x}\)のかたまりで表せ!↓ 例 \[x^2+\dfrac{1}{x^2}=\class{mathkuu}{\underline{\left( x+\dfrac{1}{x}\right)^2}}-\class{mathkuu}{\underline{2}},\ x^3+\dfrac{1}{x^3}=\class{mathkuu}{\underline{\left( x+\dfrac{1}{x}\right)^3}}-\class{mathkuu}{\underline{3\cdot \cancel{x}\cdot \cancel{\dfrac{1}{x}}\left( x+\dfrac{1}{x}\right)}}\] また、\(x^{\frac{1}{2}}+x^{-{\frac{1}{2}}}\)や\(x^{\frac{1}{2}}-x^{-{\frac{1}{2}}}\)は、2乗すると、\(x+x^{-1}+2\)や\(x+x^{-1}-2\)となるのもよく使う。
Point 2BC 1.1.4 相反式と相加相乗
相反式\(\left( ○+\dfrac{1}{○}\right)\)は相加相乗と相性がよい!
Point 2BC 1.1.5 相加平均と相乗平均の関係
\(a>0\), \(b>0\)のとき、
\[\class{mathkuu}{\underline{a+b\geqq 2\sqrt{ab}}}\] 等号成立は\(\class{mathkuu}{\underline{a=b}}\)のとき
※いつ使えばいいかわからないですとよく言われるが,「最小(大)値を求めよ」や「とりうる値の範囲を求めよ」というワードで反応するとよい!特に分数関数の最大最小が出てきたら真っ先に候補にしたい(特に文系で有効。理系は微分してグラフでゴリ押しすることもできる)。相加相乗の立ち位置としては,最大最小問題で使える3つの有名不等式のうちの1つ!詳しくはEX「最大最小」の最大最小問題の全体像で。

展開と因数分解

Point 2BC 1.2.1 展開の公式まとめ(数\(\rm I\hspace{-.01em}I\)を含む)
\[\begin{aligned} (a+b)^2&=\class{mathkuu}{\underline{a^2+2 a b+b^2}}\\ (a-b)^2&=\class{mathkuu}{\underline{a^2-2 a b+b^2}}\\ (a+b)(a-b)&=\class{mathkuu}{\underline{a^2-b^2}}\\ (x + a)(x + b) &= \class{mathkuu}{\underline{x^2 + (a + b)x + ab}}\\ (ax + b)(cx + d) &= \class{mathkuu}{\underline{acx^2 + (ad + bc)x + bd}}\\ (a+b+c)^2&=\class{mathkuu}{\underline{a^2+b^2+c^2+2ab+2bc+2ca}}\\ (a+b)^3&=\class{mathkuu}{\underline{a^3+3 a^2 b+3 a b^2+b^3}}\\ (a-b)^3&=\class{mathkuu}{\underline{a^3-3 a^2 b+3 a b^2-b^3}}\\ (a+b)\left(a^2-a b+b^2\right)&=\class{mathkuu}{\underline{a^3+b^3}}\\ (a-b)\left(a^2+a b+b^2\right)&=\class{mathkuu}{\underline{a^3-b^3}}\\ \end{aligned}\]
Point 2BC 1.2.2 因数分解の公式まとめ(数\(\rm I\hspace{-.01em}I\)を含む)
\[\begin{aligned} a^2+2 a b+b^2&=\class{mathkuu}{\underline{(a+b)^2}}\\ a^2-2 a b+b^2&=\class{mathkuu}{\underline{(a-b)^2}}\\ a^2-b^2&=\class{mathkuu}{\underline{(a+b)(a-b)}}\\ x^2+(a+b) x+ab&=\class{mathkuu}{\underline{(x+a)(x+b)}}\\ acx^2 + (ad + bc)x + bd&=\class{mathkuu}{\underline{(ax + b)(cx + d)}}\quad (たすき掛け) \\ a^3+b^3&=\class{mathkuu}{\underline{(a+b)\left(a^2-a b+b^2\right)}}\\ a^3-b^3&=\class{mathkuu}{\underline{(a-b)\left(a^2+a b+b^2\right)}}\\ 【発展】   x^3+y^3+z^3-3xyz&=\class{mathkuu}{\underline{(x+y+z)}}\\ &\quad \times\class{mathkuu}{\underline{({\color{blue}{x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx}})}}\\ {\color{blue}{x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx}}&=\class{mathkuu}{\underline{\dfrac{1}{2} \left \{ (x-y)^2+(y-z)^2+(z-x)^2 \right \}}}\\ \end{aligned}\]
Point 2BC 1.2.3 因数分解の手順
STEP.1 共通因数でくくる
STEP.2 似た形は置き換える
STEP.3 最低次数の文字で整理するor登場回数の少ない文字
ex.)
\[x^2+xy+x+2y-2=\class{mathkuu}{\underline{(x+2)(x-1)+y(x+2)}}=\class{mathkuu}{\underline{(x+2)(x+y-1)}}\](\(y\)の次数が最低・登場回数も最少)

他にも、2乗の差が作れないかなど確認する。(複2次式)
ex.)
\[x^4+x^2+1=\class{mathkuu}{\underline{(x^2+1)^2-x^2}}=\class{mathkuu}{\underline{(x^2+x+1)(x^2-x+1)}}\]

二項定理・多項定理・恒等式

Point 2BC 1.3.1 二項定理
\[\begin{aligned} (a+b)^n=&\class{mathkuu}{\underline{{ }_n \mathrm{C}_0 a^n+{ }_n \mathrm{C}_1 a^{n-1} b}}\\ &\class{mathkuu}{\underline{+{ }_n \mathrm{C}_2 a^{n-2} b^2+\cdots\cdots}}\\ &\class{mathkuu}{\underline{+{\color{red}{{ }_n \mathrm{C}_r a^{n-r} b^r}}+\cdots\cdots+{ }_n \mathrm{C}_n b^n}} \end{aligned}\] において, \(a=1, b=x\) とすると, \[ (1+x)^n={ }_n \mathrm{C}_0+{ }_n \mathrm{C}_1 x+{ }_n \mathrm{C}_2 x^2+\cdots \cdots+{ }_n \mathrm{C}_n x^n \] この等式に \(x=1\) を代入すると, \[ 2^n=\class{mathkuu}{\underline{{ }_n \mathrm{C}_0+{ }_n \mathrm{C}_1+{ }_n \mathrm{C}_2+\cdots \cdots+{ }_n \mathrm{C}_n}} \] ※二項定理は、\(n\)個の掛け算のうちどの項を何個選ぶかの組み合わせの話と認識しよう
Point 2BC 1.3.2 多項定理
\((a+b+c)^n\) の展開式における \(a^p b^q c^r\) の項は、 \[ \class{mathkuu}{\underline{\dfrac{n !}{p ! q ! r !} a^p b^q c^r}}\quad \text { ただし } p+q+r=n \] ※二項定理同様、\(n\)個の掛け算のうちどの項を何個選ぶかの組み合わせと理解しよう
Point 2BC 1.3.3 恒等式問題の解き方
恒等式(すべての\(x\)で成り立つ式)ときたら\(\cdots\)
  1. 係数比較法
  2. 数値代入法(必要条件で絞る解き方のため、逆の確認が必要)
例題 等式 \(a(x+1)^2+b(x+1)+c=x^2+3x+5\) がすべての\(x\)で成り立つとき,\(a,\ b,\ c\)を求めよ。

解1:係数比較法 左辺を展開して\(x\)について整理すると \[ax^2+(2a+b)x+(a+b+c)=x^2+3x+5\] 両辺の係数を比べて \(a=1,\ 2a+b=3,\ a+b+c=5\)。よって \(\class{mathkuu}{\underline{a=1,\ b=1,\ c=3}}\)

解2:数値代入法 \(x=-1,\ 0,\ 1\) を代入すると \[c=3,\qquad a+b+c=5,\qquad 4a+2b+c=9\] これを解いて \(a=1,\ b=1,\ c=3\)。

※解2はここまで必要条件にすぎない。この値を元の式に戻すと確かに恒等式になるので,逆の確認が済んで答えとなる。
Point 2BC 1.3.4 すべての\(k\)について成り立つときたら・・・
「方程式がすべての\(k\)について成り立つ」, 「\(k\)の値によらず通る点」ときたら・・・
\(k\)について整理!
\((kの係数)=0\), \((それ以外)=0\)
例題 \(k\)の値によらず,直線 \((k+1)x-(k-2)y-3k=0\) が通る定点を求めよ。

\(k\)について整理すると \[k\,\class{mathkuu}{\underline{(x-y-3)}}+\class{mathkuu}{\underline{(x+2y)}}=0\] これがすべての\(k\)で成り立つので \[\class{mathkuu}{\underline{x-y-3=0}}\quad かつ\quad \class{mathkuu}{\underline{x+2y=0}}\] これを解いて,定点は \(\class{mathkuu}{\underline{(2,\ -1)}}\)
Point 2BC 1.3.5 分母をはらったあとも恒等式?
教科書にある例題で,「等式 \(\dfrac{3x - 5}{(2x - 1)(x + 3)} = \dfrac{a}{2x - 1} + \dfrac{b}{x + 3}\) が \(x\) についての恒等式となるように,定数 \(a, b\) の値を定めよ。」という問題がある。これに対し,「与えられた等式が \(x\) についての恒等式ならば,その両辺に \((2x - 1)(x + 3)\) を掛けて得られる等式\(3x - 5 = a(x + 3) + b(2x - 1)\)も \(x\) についての恒等式である。」という記述で解答が始まるのだが,高校1年生のときにこの記述がずっと納得できなかった。解答の主張はすなわち,最初は定義域になかった\(x=-3,\ \dfrac{1}{2}\)を分母をはらったあとの式に代入してもよいということであるが,これは下の代数学の基本定理と呼ばれる定理の一部で説明ができる。

「\(n\)次の多項式を0にする値を\(n+1\)個見つけたら,その多項式は恒等的に0。」これを利用すると,分母をはらったあとの多項式は,少なくとも\(x=-3,\ \dfrac{1}{2}\)以外のすべての実数では恒等的に成り立つ事から,\(x=-3,\ \dfrac{1}{2}\)を代入しても成り立つといえる。これは多項式の連続性にも関連している。

等式・不等式の証明

Point 2BC 1.4.1 数式の表す意味〜数式を日本語に〜
\(a,\ b,\ c\)は実数とする。数式を見たら,その場で日本語に言いかえるクセをつけよう。

\(ab=0\) \(\iff\) \(a=0\) または \(b=0\) → 「少なくとも一方が\(0\)」(両方\(0\)も可)

\(abc=0\) \(\iff\) \(a=0\) または \(b=0\) または \(c=0\) → 「少なくとも1つが\(0\)

\(ab\mathrel{\bcancel{\mkern-8mu=\mkern-8mu}} 0\) \(\iff\) \(a\mathrel{\bcancel{\mkern-8mu=\mkern-8mu}} 0\) かつ \(b\mathrel{\bcancel{\mkern-8mu=\mkern-8mu}} 0\) → 「\(0\)は無い

\(abc\mathrel{\bcancel{\mkern-8mu=\mkern-8mu}} 0\) \(\iff\) \(a,\ b,\ c\) のどれも \(0\)でない → 「\(0\)は無い

\(ab>0\) \(\iff\) \(a>0\)かつ\(b>0\) または \(a<0\)かつ\(b<0\) → 「\(a\)と\(b\)は同符号

【2乗の和が\(0\)】

\(a^2+b^2=0\) \(\iff\) \(a=b=0\) → 「両方\(0\)で確定

\(a^2+b^2+c^2=0\) \(\iff\) \(a=b=c=0\) → 「全部\(0\)で確定

(\(\because\) 有名不等式 \((実数)^2\geqq 0\)。\(0\)以上のものを足して\(0\)になるのは,全部\(0\)のときだけ)
【\(△-〇\)型】 \[(a-〇)(b-〇)(c-〇)=0\ \iff\ \class{mathkuu}{\underline{a,\ b,\ cのうち少なくとも1つが〇}}\] \[(a-〇)^2+(b-〇)^2+(c-〇)^2=0\ \iff\ \class{mathkuu}{\underline{a,\ b,\ cすべてが〇}}\]
Point 2BC 1.4.2 等式の証明
等式\(\mathrm{A}=\mathrm{B}\)の証明ときたら・・・原則,3通り!
  1. \(\mathrm{A}-\mathrm{B}=0\)を示す。
  2. A(複雑な方)を変形してBに。
  3. AをCに,BをCに,と別の同じ式Cに変形
Point 2BC 1.4.3 不等式の証明のまとめ
等式\(大\geqq 小\)の証明ときたら・・・
→原則:\(大-小\geqq 0\)を示す!
方針立てのテクニックは・・・
  1. まずは因数分解を考える。(積の形を作る)
  2. 2乗の和を作る。(平方完成)(\((実数)^2\geqq 0\)利用)
  3. 関数と見て、最小値\(\geqq 0\)を示す(その際グラフは比べやすいグラフで比べる)
  4. 有名不等式利用(\((実数)^2\geqq 0\),相加相乗、コーシー・シュワルツ、三角不等式 etc...)
    ※他にも,整数や数列など自然数\(n\)に関する不等式では代入して実験,帰納法なども。
(i)の例)因数分解を考える
任意の実数\(x\)に対して,\(\sin x\cos x+2\cos x-\sin x-2\leqq 0\)が成り立つことを示せ。 \[(左辺)=\cos x(\sin x+2)-(\sin x+2)=(\cos x-1)(\sin x+2)\] \(-1\leqq \sin x\leqq 1\)より\(\sin x+2>0\)は常に成り立つ。また\(-1\leqq \cos x\leqq 1\)より\(\cos x-1\leqq 0\)。
よって\(\text{(負または0)}\times\text{(正)}\leqq 0\)より,与式が成り立つ。(このように常に正(負)となる因数を括り出すと,調べる対象を減らせる)
(ii)の例)2乗の和を作る(平方完成)
任意の実数\(x,y\)に対して,\(x^2-xy+y^2\geqq 0\)が成り立つことを示せ。
\(x\)の2次式とみて平方完成すると, \[x^2-xy+y^2=\left(x-\dfrac{1}{2}y\right)^2+\dfrac{3}{4}y^2\] \(x,y\)は実数なので\(\left(x-\dfrac{1}{2}y\right)^2\geqq 0\)かつ\(\dfrac{3}{4}y^2\geqq 0\)。よって和も0以上(等号成立は\(x=y=0\)のとき)。
(iii)の例)関数と見て,最小値\(\geqq 0\)を示す
\(x\geqq 0\)のとき,\(x^3+2\geqq 3x\)が成り立つことを示せ。
\(f(x)=x^3-3x+2\)とおくと,\(f'(x)=3x^2-3=3(x-1)(x+1)\)。\(x\geqq 0\)における\(f(x)\)の増減を調べると,\(x=1\)で最小値\(f(1)=\class{mathkuu}{\underline{0}}\)をとる。よって\(x\geqq 0\)で\(f(x)\geqq 0\),すなわち\(x^3+2\geqq 3x\)が成り立つ。
(iv)の例)有名不等式利用(相加相乗平均など)
\(a>0\)のとき,\(a+\dfrac{4}{a}\geqq 4\)が成り立つことを示せ。
\(a>0\)より\(\dfrac{4}{a}>0\)であるから,相加相乗平均の関係より \[a+\dfrac{4}{a}\geqq 2\sqrt{a\cdot \dfrac{4}{a}}=\class{mathkuu}{\underline{4}}\] (等号成立は\(a=\dfrac{4}{a}\)かつ\(a>0\),すなわち\(a=2\)のとき)

方程式・不等式

Point 2BC 1.5.1 複素数の相等
\(a, b, c, d\) は実数とする。 \[ a+b i=c+d i \iff \class{mathkuu}{\underline{a=c かつ b=d}} \] \[特に、a+b i=0 \iff \class{mathkuu}{\underline{a=0 かつ b=0}}\]
Point 2BC 1.5.2 負の数の平方根
\(a > 0\) のとき,\(-a\) の平方根は \[\class{mathkuu}{\underline{\pm\sqrt{-a}}} \quad すなわち \quad \class{mathkuu}{\underline{\pm\sqrt{a}\,i}}\]
※特に,\(-1\) の平方根は \(\pm i\)。
Point 2BC 1.5.3 \(\sqrt{(負の数)}\)を見たら・・・
※\(\sqrt{-3} \times \sqrt{-5}=\sqrt{(-3)(-5)}=\sqrt{15}\)は間違い。(詳しくは指数対数の章\()\) 正しくは、 \(\sqrt{-3} \times \sqrt{-5}=\sqrt{3}i \times \sqrt{5}i=-\sqrt{15}\)
\(\sqrt{-1}\)の形を見たらすぐに \(i\) に直そう!
Point 2BC 1.5.4 判別式
2 次方程式 \(a x^2+b x+c=0\) がどんな解をもつ?

⇒判別式 \(D=b^2-4ac\) について、次のことが成り立つ。 \[ \begin{aligned} & D>0 \iff \text { 異なる } 2 \text { つの実数解をもつ } \\ & D=0 \iff \text { 重解をもつ } \\ & D<0 \iff \class{mathkuu}{\underline{2つの共役な虚数解をもつ}} \end{aligned} \]
\(b\)が偶数なら・・・ \(b=2b'\)のとき, \[\dfrac{D}{4} = \class{mathkuu}{\underline{b'^2 - ac}}\] 符号の判定は\(D\)と\(\dfrac{D}{4}\)のどちらで見ても同じ。数が小さくなって計算が速く,ミスも減る。
Point 2BC 1.5.5 共役な複素数と四則計算
複素数 \(\alpha = a+bi\)(\(a,\ b\)は実数)に対して,\(\class{mathkuu}{\underline{a - bi}}\) を \(\alpha\) と共役な複素数といい,\(\overline{\alpha}\) で表す。
互いに共役な複素数 \(\alpha = a+bi\),\(\overline{\alpha} = a-bi\) の和と積は, \[\alpha + \overline{\alpha} = \class{mathkuu}{\underline{2a}}, \qquad \alpha\,\overline{\alpha} = \class{mathkuu}{\underline{a^2+b^2}}\] となり,ともに実数(実数or複素数)である。
複素数の四則計算の結果は,次のようになる。
  1. 加法 \[(a+bi)+(c+di) = \class{mathkuu}{\underline{(a+c)+(b+d)i}}\]
  2. 減法 \[(a+bi)-(c+di) = \class{mathkuu}{\underline{(a-c)+(b-d)i}}\]
  3. 乗法 \[(a+bi)(c+di) = \class{mathkuu}{\underline{(ac-bd)+(ad+bc)i}}\]
  4. 除法 \[\dfrac{a+bi}{c+di} = \dfrac{ac+bd}{c^2+d^2} + \dfrac{bc-ad}{c^2+d^2}i\]
すなわち,2つの複素数の和・差・積・商はまた複素数になる。また,\(\alpha,\ \beta\) を複素数とすると, \[\alpha\beta = 0 \iff \class{mathkuu}{\underline{\alpha = 0\ または\ \beta = 0}}\]
除法は覚えなくてよい。 分母と共役な複素数を分子・分母にかけるだけ。\(\dfrac{a+bi}{c+di} = \dfrac{(a+bi)(c-di)}{(c+di)(c-di)}\) とすれば,上の「積が実数」により分母から\(i\)が消える

虚数については,大小関係や正・負は考えない。\(\alpha > 0\) のような書き方ができるのは実数のときだけ。
※(補足)\(\overline{\alpha+\beta} = \overline{\alpha}+\overline{\beta}\),\(\overline{\alpha\beta} = \overline{\alpha}\,\overline{\beta}\) のように,バーはバラバラにできる。差や商でも同じ。
Point 2BC 1.5.6 共役な複素数解
実数係数の2次方程式が虚数解\(p+qi\)をもつとき、その共役な複素数\(p-qi\)
2次方程式の解である。

※同様に実数係数であれば,このことは2次方程式だけでなく一般の\(n\)次方程式で成り立つ。
Point 2BC 1.5.7 解の個数(代数学の基本定理)
\(n\)次方程式は,複素数の範囲で,重解を重複して数えれば\(n\)個の解をもつ。
「解が何個あるか」を数えるときは,どの範囲で数えているかを毎回確認する

複素数の範囲 \(\cdots\) つねに \(n\) 個(重解込み)

実数の範囲 \(\cdots\) \(n\) 個とは限らない(虚数解の分だけ減る)

実数係数なら虚数解は必ず共役なペアで現れる(前のPoint)ので,虚数解の個数は必ず偶数。(したがって3次方程式は実数解を必ず1つ以上もつ)
Point 2BC 1.5.8 解と係数の関係
2次方程式 \(ax^2+bx+c=0\) の2つの解を \(\alpha,\ \beta\) とすると, \[\alpha +\beta =\class{mathkuu}{\underline{-\dfrac{b}{a}}}, \quad \alpha \beta =\class{mathkuu}{\underline{\dfrac{c}{a}}}\]
3次方程式 \(ax^3+bx^2+cx+d=0\) の解を \(\alpha,\ \beta,\ \gamma\) とすると, \[\alpha +\beta +\gamma =\class{mathkuu}{\underline{-\dfrac{b}{a}}}, \quad \alpha \beta +\beta \gamma +\gamma \alpha=\class{mathkuu}{\underline{\dfrac{c}{a}}}, \quad \alpha \beta \gamma =\class{mathkuu}{\underline{-\dfrac{d}{a}}}\]
Point 2BC 1.5.9 2数を解とする2次方程式
2数 \(\alpha,\ \beta\) に対して,\(p = \alpha+\beta\),\(q = \alpha\beta\) とすると,\(\alpha\) と \(\beta\) を解とする2次方程式の1つは \[\class{mathkuu}{\underline{x^2 - px + q = 0}}\]
和と積さえわかれば,その2数を解にもつ方程式が作れる

3数 \(\alpha,\ \beta,\ \gamma\) なら \[x^3 - (\alpha+\beta+\gamma)x^2 + (\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha)x - \alpha\beta\gamma = 0\] 符号が交互になるのがポイント。
Point 2BC 1.5.10 整式の割り算
整式\(P(x)\)を整式\(f(x)\)で割ったときの商が\(Q(x)\),余りが\(r(x)\)ならば, \[P(x)=\class{mathkuu}{\underline{f(x)Q(x)+r(x)}}\] ただし,\((f(x)\)の次数\()\class{mathkuu}{>}(r(x)\)の次数\()\)
Point 2BC 1.5.11 組立除法
\(x - \alpha\)(1次式)で割るときに使える筆算のようなもの。
\(P(x) = 2x^3 - 3x^2 + 4\) を \(x - 2\) で割る場合(欠けている次数は \(0\) を必ず書く):
\[ \begin{array}{r|rrrr} 2 & 2 & -3 & 0 & 4 \\ & & 4 & 2 & 4 \\ \hline & 2 & 1 & 2 & {\color{red}{8}} \end{array} \]
  1. 係数を次数の高い順に並べる(欠けた次数は \(0\))。左に \(\alpha\) を書く。
  2. 先頭の係数をそのまま下ろす。
  3. 「下ろした数 \(\times \alpha\)」を次の縦列の上に書き,たす。これを繰り返す。
  4. 最後の1つが余り,残りが商の係数。
上の例なら,商 \(\class{mathkuu}{\underline{2x^2 + x + 2}}\),余り \(\class{mathkuu}{\underline{8}}\)。
Point 2BC 1.5.12 剰余の定理
・整式 \(P(x)\)を\(x - \alpha\)で割ったときの余りは,\(\class{mathkuu}{\underline{P(\alpha)}}\)に等しい。

・\(P(x)\)を\(ax + b\)で割ったときの余りは,\(\class{mathkuu}{\underline{P\left( -\dfrac{b}{a} \right)}}\)に等しい。
Point 2BC 1.5.13 因数定理
・整式 \(P(x)\) が \(x - \alpha\) を因数にもつ \(\Longleftrightarrow P(\class{mathkuu}{\underline{\alpha}}) = \class{mathkuu}{\underline{0}}\)

・\(P(x)\) が \(ax + b\) を因数にもつ \(\Longleftrightarrow P\left( \class{mathkuu}{\underline{-\dfrac{b}{a}}} \right) = \class{mathkuu}{\underline{0}}\)
Point 2BC 1.5.14 \((x-○)^2\)で割った余り 〜条件が1個足りない!〜
余りの問題は,「余りの未知数の個数」と「代入できる\(x\)の個数」が合うかどうかが全て。

\(x-a\)で割る 余りは定数(未知数1個)/代入できるのは\(x=a\)の1個 → 足りる

\((x-a)(x-b)\)で割る 余りは1次式(未知数2個)/代入できるのは\(x=a,\ b\)の2個 → 足りる

\((x-a)^2\)で割る 余りは1次式(未知数2個)/代入できるのは\(x=a\)の1個だけ → 1個足りない!

割る式に同じ因数が2回出てくると,必ず条件が1個足りなくなる。\((x-○)^2(x-△)\)型も同じ構造(Point1.5.15)。

足りない1個を埋める手は,次の2つ。
  1. \((x-a)\)をひねり出す(与式・余りの式のどちらからでもよい)
  2. 微分する。多項式の恒等式は微分しても恒等式
\((x-○)^2(x-△)\)型(Point1.5.15)も,結局は(1)を余りの式に対して使う。
例題 \(x^{10}\)を\((x-1)^2\)で割った余りを求めよ。

解1:余りの式から\((x-1)\)をひねり出す

余りは1次以下だから,\(ax+b\) とおく。 \[x^{10}=(x-1)^2Q(x)+ax+b\] \(x=1\) を代入して \(\class{mathkuu}{\underline{a+b=1}}\)。条件はこれ1つで足りない。

そこで余りの式\(ax+b\)から\((x-1)\)をひねり出すと \[ax+b=a(x-1)+\class{mathkuu}{\underline{a+b}}\] ここで先ほどの \(a+b=1\) を代入して \(ax+b=\class{mathkuu}{\underline{a(x-1)+1}}\)。

これを戻して\(1\)を移項すると \[x^{10}-1=(x-1)\{(x-1)Q(x)+a\}\] 一方 \(x^{10}-1=(x-1)(x^9+x^8+\cdots+x+1)\) なので,両辺を\((x-1)\)で割って \[x^9+x^8+\cdots+x+1=(x-1)Q(x)+a\] \(x=1\) を代入して \(\class{mathkuu}{\underline{a=10}}\),したがって \(b=-9\)。余りは \(\class{mathkuu}{\underline{10x-9}}\)
解2:与式から\((x-1)\)をひねり出す(二項定理)
\(x=(x-1)+1\)と見て2項定理を使うと,
\[\begin{aligned} x^{10}&=\{(x-1)+1\}^{10}\\ &={}_{10}\mathrm{C}_0(x-1)^{10}+{}_{10}\mathrm{C}_1(x-1)^9\\ &\qquad +\cdots+{}_{10}\mathrm{C}_9(x-1)+{}_{10}\mathrm{C}_{10} \end{aligned}\] 右辺のうち\((x-1)^2\)以上の項は全て\((x-1)^2Q(x)\)の形にまとまるので,残るのは末尾の2項だけ。
\[x^{10}=(x-1)^2Q(x)+{}_{10}\mathrm{C}_1(x-1)+{}_{10}\mathrm{C}_0=(x-1)^2Q(x)+\class{mathkuu}{\underline{10x-9}}\] (\(x=(x-1)+1\)と見て,無理やり\((x-1)\)を作り出すのがポイント)
解3:微分 \(P(x)=x^{10}\),\(P(x)=(x-1)^2Q(x)+ax+b\) とおくと \(P(1)=1=a+b\)。

多項式の恒等式は微分しても恒等式なので,両辺を微分して \[P'(x)=10x^9=2(x-1)Q(x)+(x-1)^2Q'(x)+a\] \(x=1\)を代入して \(a=P'(1)=10\)。\(a+b=1\) とあわせて \(b=-9\)。
Point 2BC 1.5.15 \((x-○)^2(x-△)\)で割った余り
\((x-○)^2(x-△)\)で割った余りときたら・・・余りの2次式から,条件の強い\((x-○)^2\)の方をひねり出せ!

※これも余りの未知数3個に対し,代入できるのは\(x=○,\ △\)の2個1個足りない型(Point1.5.14)。埋め方も同じで,余りの2次式から\((x-○)^2\)をひねり出す
例題 整式\(P(x)\)を\((x-1)^2\)で割った余りが\(2x-4\),\(P(-1)=-2\)のとき,\(P(x)\)を\((x-1)^2(x+1)\)で割った余りを求めよ。

割る式が3次なので余りは2次以下。\(ax^2+bx+c\) とおく。

この余りから\((x-1)^2\)をひねり出すと \[ax^2+bx+c=a(x-1)^2+(2a+b)x+(c-a)\] \((x-1)^2(x+1)\)の部分も\((x-1)^2\)で割り切れるので,\(P(x)\)を\((x-1)^2\)で割った余りは\((2a+b)x+(c-a)\)。これが\(2x-4\)と一致して \[\class{mathkuu}{\underline{2a+b=2}},\qquad \class{mathkuu}{\underline{c-a=-4}}\] また \(x=-1\) を代入して \(\class{mathkuu}{\underline{a-b+c=P(-1)=-2}}\)。

これらを解いて \(\class{mathkuu}{\underline{a=1,\ b=0,\ c=-3}}\),すなわち余りは \(\class{mathkuu}{\underline{x^2-3}}\)
補足 「\((x-○)^2\)で割った余り」が与えられたら,そこから\((x-○)\)をひねり出すと\(P(○)\)が読み取れる。

例)\(P(x)\)を\((x-1)^2\)で割った余りが\(2x-4\)なら,\(2x-4=\class{mathkuu}{\underline{2(x-1)-2}}\)より \[P(x)=(x-1)\{(x-1)Q(x)+2\}\class{mathkuu}{\underline{-2}}\] となり,\(x-1\)で割った余り,すなわち\(P(1)=\class{mathkuu}{\underline{-2}}\)。
別解(微分) 微分して条件を1本増やしてもよい。(積の微分法を使うので数\(\rm I\hspace{-.01em}I\hspace{-.01em}I\)履修者向け)

\(P(x)=(x-1)^2Q_1(x)+2x-4\) の両辺を微分すると \[P'(x)=2(x-1)Q_1(x)+(x-1)^2Q_1'(x)+2\] だから \[P(1)=-2,\qquad P'(1)=2\] 一方, \[P(x)=(x-1)^2(x+1)Q(x)+ax^2+bx+c\] を微分して \(x=1\) を代入すると \(P'(1)=2a+b\)。

\(P(1)=a+b+c\),\(P(-1)=a-b+c\) とあわせて \[a+b+c=-2,\quad 2a+b=2,\quad a-b+c=-2\] となり,同じく \(\class{mathkuu}{\underline{a=1,\ b=0,\ c=-3}}\) を得る。
Point 2BC 1.5.16 3乗根の性質
1. 3乗して \(a\) となる数,つまり \(x^3 = a\) の解を \(a\) の3乗根という.

2. \(a\)が0でない実数のとき\(a\)の3乗根は3個で\(\class{mathkuu}{\underline{1}}\)つが実数,\(\class{mathkuu}{\underline{2}}\)つが虚数。(実数は\(\sqrt[3]{a})\)

3. \(\class{mathkuu}{\underline{1}}\)の3乗根のうち,虚数であるものの1つを \(\omega\) とすると,1の3乗根は \(1, \omega, \class{mathkuu}{\underline{\omega^2}}\) で, \[\class{mathkuu}{\underline{\omega^3}} = \class{mathkuu}{\underline{1}}, \quad \class{mathkuu}{\underline{\omega^2 + \omega + 1}} = \class{mathkuu}{\underline{0}},\quad \class{mathkuu}{\underline{\omega ^2}}=\ \class{mathkuu}{\underline{\overline{\omega}}}\] を満たす。
Point 2BC 1.5.17 \(x^2+x+1\)で割った余り
\(x^2+x+1=0\) の虚数解の1つを \(\omega\) とする。これは\(1\)の虚数の3乗根であり(Point1.5.16), \[\class{mathkuu}{\underline{\omega ^3=1}},\qquad \class{mathkuu}{\underline{\omega ^2+\omega +1 =0}}\] を満たす。整式\(P(x)\)を\(x^2+x+1\)で割った余りときたら・・・

→\(P(x)=(x^2+x+1)Q(x)+ax+b\) とおいて,\(x=\omega\)を代入せよ!(\(\omega\)は\(x^2+x+1=0\)の解なので第1項が消える)
例題 \(x^{100}\)を\(x^2+x+1\)で割った余りを求めよ。

余りは1次以下だから,\(a,\ b\)を実数として\(x^{100}=(x^2+x+1)Q(x)+ax+b\) とおく。(この「実数」があとで効く

\(x=\omega\)を代入すると \[\omega^{100}=a\omega+b\] \(\omega^3=1\) より \(\omega^{100}=(\omega^3)^{33}\cdot\omega=\class{mathkuu}{\underline{\omega}}\)。よって \(a\omega+b=\omega\)。

移項すると \((a-1)\omega+b=0\)。ここで\(a,\ b\)は実数だから,もし\(a-1\mathrel{\bcancel{\mkern-8mu=\mkern-8mu}} 0\)なら\(\omega=-\dfrac{b}{a-1}\)となって\(\omega\)が実数になってしまい矛盾。

よって \(\class{mathkuu}{\underline{a=1,\ b=0}}\) で,求める余りは \(\class{mathkuu}{\underline{x}}\)

※\(\omega=\dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2}\)を代入して実部・虚部を比べても同じ結果になる。
Point 2BC 1.5.18 面倒な値\((x=\sqrt{a}+b)\)の代入テクニック
\(x=\sqrt{a}+b\) を次数の高い式に代入するのは面倒\(\cdots\)

→まず \(x-b=\sqrt{a}\) の両辺を2乗して,\(\sqrt{\ }\)の消えた2次式を作る。 \[x^2-2bx+(b^2-a)=\class{mathkuu}{\underline{0}}\] →元の式をこの2次式で割り,余りに代入せよ!(商の部分は\(0\)倍になって消える)
例題 \(x=\sqrt{2}+1\) のとき,\(x^4-2x^3-x^2+2x+3\) の値を求めよ。

\(x-1=\sqrt{2}\) の両辺を2乗して \(\class{mathkuu}{\underline{x^2-2x-1=0}}\)

元の式をこの2次式で割ると \[x^4-2x^3-x^2+2x+3=(x^2-2x-1)\cdot x^2+(2x+3)\] 第1項は\(0\)なので,\(2x+3=2(\sqrt{2}+1)+3=\class{mathkuu}{\underline{2\sqrt{2}+5}}\)
Point 2BC 1.5.19 高次式で \(P(\alpha)=0\) となる \(\alpha\) の見つけ方
⇒まずは\(0\)\(\pm 1\)を入れてみる

⇒ダメなら、\(\pm \dfrac{定数項の約数}{最高次の係数の約数}\)

この章の振り返り

いかがでしたでしょうか。この章は、単元名としては「式と証明・高次方程式」ですが、実質は式を見た瞬間に何を疑うかという反射を作る章でした。だから最初に発想パターンのまとめを置いています。

対称式なら基本対称式で表す、相反式なら\(x+\dfrac{1}{x}\)のカタマリで扱う、正の数の和や積が絡めば相加平均と相乗平均の関係を疑う。どれも「その形だから、その手」という対応です。逆に言えば、式の形を見ずに手を動かし始めると、この章の内容は活きません。まず眺めて特徴を探す、という順序そのものが身につけたいことでした。

恒等式と整式の割り算では、等式が成り立つ範囲への意識が問われました。すべての\(x\)について成り立つのか、ある特定の\(x\)で成り立つのか。分母をはらった後に同じ等式が成り立つと言えるのか。ここが曖昧だと、係数比較と数値代入のどちらを使うかで迷い、代入した後の確認も抜けます。

方程式のほうでは、剰余の定理と因数定理を軸に、余りを求める問題の型を並べました。\((x-\bigcirc)^2\)で割った余りのように条件が1個足りない形が出てきたときの補い方、\(x^2+x+1\)で割る問題で\(1\)の\(3\)乗根の性質を使う流れ、面倒な値を代入するときに先に\(2\)乗して整理する手など、いずれも一度見ておかないと自力では思いつきにくいものです。ここは知識として抱えてしまってよい部分です。

この章で作った反射は、以降のどの単元でも同じ形で顔を出します。指数対数でも三角関数でも、相反式や相加相乗はそのまま再登場します。単元をまたいで同じ発想が使えると気づけたときが、この章がいちばん効いている瞬間です。