1A 第5章
5. 図形と計量(数Ⅰ)・図形の性質(数A)
図形問題の全体像
Point 1A 5.1.1 図形問題ときたら・・・
まずは図をきれいに描く! 図を描く習慣をつけよう。
図から図形の特徴をつかむことが,解法選択の出発点。
そのうえで,使える解法は次の4つ。 ① まずは幾何! (数学Ⅰの三角比と,主に数学Aの図形の知識)
・三角比 直角三角形の三角比・正弦定理・余弦定理
・相似・合同 意外と気づきにくいので頭の引き出しの手前に!
・図形の性質 チェバ・メネラウス,方べきの定理,中線定理,接弦定理 など
② 座標設定(図形と方程式(数Ⅱ)へ)
③ ベクトル(平面はもちろん,四面体や平行六面体など特に空間に強い)
④ 複素数平面(回転絡み)(履修者のみ)
まずは①幾何を考え,見通しが立たなければ②〜④を選択しよう!
そのうえで,使える解法は次の4つ。 ① まずは幾何! (数学Ⅰの三角比と,主に数学Aの図形の知識)
・三角比 直角三角形の三角比・正弦定理・余弦定理
・相似・合同 意外と気づきにくいので頭の引き出しの手前に!
・図形の性質 チェバ・メネラウス,方べきの定理,中線定理,接弦定理 など
② 座標設定(図形と方程式(数Ⅱ)へ)
③ ベクトル(平面はもちろん,四面体や平行六面体など特に空間に強い)
④ 複素数平面(回転絡み)(履修者のみ)
まずは①幾何を考え,見通しが立たなければ②〜④を選択しよう!
Point 1A 5.1.2 4つの解法の特徴と使い分け
① 幾何 多少発想や経験値が必要。手順が一定でない代わりに,ハマれば計算量が一気に減る。三角形が鋭角か鈍角か,そもそも三角形が成り立つかで式が変わる場面などもあり,場合分けの漏れにも注意が必要。
② 座標設定 座標を自分で設定することで,図形の方程式など代数に持っていく解法。計算量は多くなりがちだが,逆にいえば図に頼らず計算だけで押し切れるのが強み。直角の多い図形や,長さの関係式が与えられた問題で有力。中点や重心,直角の部分を原点に取ってみるなど,座標の取り方の工夫で計算量を減らせることも多い。
③ ベクトル 特に空間図形などでは標準的な手段。四面体・平行六面体などと相性がよく,計算量が少なく済むことも多い。各点の成り立ちなど,あらゆる条件をベクトルの式に書き換えられるようになると強みになる。
④ 複素数平面 主に回転がからむ問題で威力を発揮する。(履修者のみ)
② 座標設定 座標を自分で設定することで,図形の方程式など代数に持っていく解法。計算量は多くなりがちだが,逆にいえば図に頼らず計算だけで押し切れるのが強み。直角の多い図形や,長さの関係式が与えられた問題で有力。中点や重心,直角の部分を原点に取ってみるなど,座標の取り方の工夫で計算量を減らせることも多い。
③ ベクトル 特に空間図形などでは標準的な手段。四面体・平行六面体などと相性がよく,計算量が少なく済むことも多い。各点の成り立ちなど,あらゆる条件をベクトルの式に書き換えられるようになると強みになる。
④ 複素数平面 主に回転がからむ問題で威力を発揮する。(履修者のみ)
三角比と正弦定理・余弦定理
Point 1A 5.2.1 直角三角形を用いた三角比の定義
\[\sin A = \class{mathkuu}{\underline{\dfrac{a}{c}}} \quad \left( \dfrac{\text{対辺}}{\text{斜辺}} \right)\]
\[\cos A = \class{mathkuu}{\underline{\dfrac{b}{c}}} \quad \left( \dfrac{\text{隣辺}}{\text{斜辺}} \right)\]
\[\tan A = \class{mathkuu}{\underline{\dfrac{a}{b}}} \quad \left( \dfrac{\text{対辺}}{\text{隣辺}} \right)\]
Point 1A 5.2.2 正弦定理・余弦定理
\(\triangle\)ABCの外接円の半径を\(R\)とするとき,
正弦定理: \[ \class{mathkuu}{\underline{\frac{a}{\sin A}}} = \class{mathkuu}{\underline{\frac{b}{\sin B}}} = \class{mathkuu}{\underline{\frac{c}{\sin C}}} = \class{mathkuu}{\underline{2R}} \] 余弦定理: \[ c^2 = \class{mathkuu}{\underline{a^2 + b^2 - 2ab \cos C}} \] \[ \iff \cos C =\class{mathkuu}{\underline{ \frac{a^2 + b^2 - c^2}{2ab}}} \]
正弦定理: \[ \class{mathkuu}{\underline{\frac{a}{\sin A}}} = \class{mathkuu}{\underline{\frac{b}{\sin B}}} = \class{mathkuu}{\underline{\frac{c}{\sin C}}} = \class{mathkuu}{\underline{2R}} \] 余弦定理: \[ c^2 = \class{mathkuu}{\underline{a^2 + b^2 - 2ab \cos C}} \] \[ \iff \cos C =\class{mathkuu}{\underline{ \frac{a^2 + b^2 - c^2}{2ab}}} \]
※正弦定理は,円周角の定理を用いて直径を1辺とする直角三角形に角度を移すと導出可。
※よく考えると余弦定理は,ベクトルの大きさに関する下の等式と同じ!(数学C) \[|\overrightarrow{AB}|^2=|\overrightarrow{CB}-\overrightarrow{CA}|^2\]
Point 1A 5.2.3 正弦定理・余弦定理の大まかな選択
・「辺がたくさん分かっている」ときたら・・・余弦定理!
・「角がたくさん分かっている」ときたら・・・正弦定理!
・「外接円絡み」ときたら・・・正弦定理!
・「角がたくさん分かっている」ときたら・・・正弦定理!
・「外接円絡み」ときたら・・・正弦定理!
三角形の性質
Point 1A 5.3.1 三角形は何が分かれば決まるか
1つの三角形には,\(3\)辺の長さ\(a,\ b,\ c\),\(3\)角の大きさ\(A,\ B,\ C\),他にも外接円の半径\(R\),内接円の半径\(r\),面積\(S\)がある。 この\(9\)つのうち,大体\(3\)つが分かると,他の図形量も求まる!(もちろん内角\(3\)つなどでは,形は決まっても大きさは決まらない) →この感覚を持っておくと,求まる見込みがあるかどうかが直感的にわかる!
Point 1A 5.3.2 三角形の成立条件 〜三角不等式〜
三辺の長さを \(a\), \(b\), \(c\) とする三角形が存在するための必要十分条件は、
※一見わかりにくい三角不等式の左側について。まず\(|a-b|\)と絶対値をつけている理由は,\(aとb\)どちらが大きい場合にも対処するため。そして,不等式の意味は,「ある1辺は,他2辺の差より大きい」。\(aとb\)を並べて書けばわかるが,\(aとb\)の差より\(c\)が小さければ,\(aとb\)の辺の先端を結ぼうとしても\(c\)では届かない。
※要は,「ある辺がその他2辺の差より大きく和より小さい」というのが三角不等式。
他にもベクトルや積分,複素数でも三角不等式は登場するので覚えておこう。
\[\class{mathkuu}{\underline{|a-b|}} < c < \class{mathkuu}{\underline{a+b}}\]
(左側の不等式は必ず成り立つので,この式のみで三角不等式と同値になる。)
(三角不等式)
特に、\(c\) が最大の辺と分かっている場合は、\( c < a+b \)が条件。(左側の不等式は必ず成り立つので,この式のみで三角不等式と同値になる。)

※要は,「ある辺がその他2辺の差より大きく和より小さい」というのが三角不等式。
他にもベクトルや積分,複素数でも三角不等式は登場するので覚えておこう。
Point 1A 5.3.3 三角形の辺と角の大小関係
辺の大小とその向かい合う角の大小は一致する。
つまり、\(\triangle ABC\) で \(a > b > c\) のとき、
\(\angle \class{mathkuu}{\underline{A}} > \angle \class{mathkuu}{\underline{B}} > \angle \class{mathkuu}{\underline{C}}\) も成り立つ。
\(\angle \class{mathkuu}{\underline{A}} > \angle \class{mathkuu}{\underline{B}} > \angle \class{mathkuu}{\underline{C}}\) も成り立つ。

Point 1A 5.3.4 鋭角・鈍角の判定
余弦定理で,\(\cos\)の正負に注目すると,以下のことが得られる。
\[ \angle Aが\text{鋭角} \iff \class{mathkuu}{\underline{a^2<b^2+c^2}}\]
\[ \angle Aが\text{直角} \iff \class{mathkuu}{\underline{a^2=b^2+c^2}}\]
\[ \angle Aが\text{鈍角} \iff \class{mathkuu}{\underline{a^2>b^2+c^2}}\] ※要は\(\cos\)の正負でわかるので,ベクトルの分野では,内積の正負でも判断できる。(数学C)
Point 1A 5.3.5 三角形の面積
三角形の面積 \(S\) とすると,右図より,
\[ S = \class{mathkuu}{\underline{\dfrac{1}{2}ab \sin C}} \ \ \cdots ①\]
として表せる。(Cが鈍角も可)

Point 1A 5.3.6 中線定理
右図において,次のことが成り立つ。
\[
AB^2 + AC^2 = \class{mathkuu}{\underline{2(AM^2 + BM^2)}}
\]
※個人的な覚え方:AMとBCが垂直だと思えば,2つの三平方の定理の和!垂直じゃなくてもそれが成り立つ。
※証明も大切!図形問題の全体像通りの3通りで証明可!
※証明も大切!図形問題の全体像通りの3通りで証明可!

略証1.(余弦定理)
\(\angle AMB + \angle AMC = 180^\circ\) と,余弦定理を用いる。
三角形 \(AMB\) と三角形 \(AMC\) で余弦定理より, \[ \cos \angle AMB = \frac{AM^2 + BM^2 - AB^2}{2AM \cdot BM},\cos \angle AMC = \frac{AM^2 + CM^2 - AC^2}{2AM \cdot CM} \] ここで,\(\cos \angle AMB = - \cos \angle AMC\) と \(BM = CM\) より, \[ AM^2 + BM^2 - AB^2 = - AM^2 - BM^2 + AC^2 \] 略証2.(ベクトル)(これもオススメ)
\(\overrightarrow{MA} = \vec{a},\ \overrightarrow{MB} = \vec{b}\) とおくと,\(\overrightarrow{MC} = -\vec{b}\) となる。(\(1\)行目から\(2\)行目が,要は余弦定理\(2\)回分。) \[\begin{aligned} AB^2 + AC^2 &= |\vec{b} - \vec{a}|^2 + |-\vec{b} - \vec{a}|^2\\ &= |\vec{b} - \vec{a}|^2 + |-(\vec{b} + \vec{a})|^2 = |\vec{b} - \vec{a}|^2 + |\vec{b} + \vec{a}|^2 \\ &= (\vec{b} - \vec{a}) \cdot (\vec{b} - \vec{a}) + (\vec{b} + \vec{a}) \cdot (\vec{b} + \vec{a}) \\ &= (|\vec{b}|^2 - 2\vec{a} \cdot \vec{b} + |\vec{a}|^2) + (|\vec{b}|^2 + 2\vec{a} \cdot \vec{b} + |\vec{a}|^2) \\ &= 2|\vec{b}|^2 + 2|\vec{a}|^2 = 2BM^2 + 2AM^2 \end{aligned}\] Mを始点としたのがポイント!中点や外心を始点とするとラクになることは多い!
※座標設定もオススメ。この場合も,中点を原点とするとラク!
三角形 \(AMB\) と三角形 \(AMC\) で余弦定理より, \[ \cos \angle AMB = \frac{AM^2 + BM^2 - AB^2}{2AM \cdot BM},\cos \angle AMC = \frac{AM^2 + CM^2 - AC^2}{2AM \cdot CM} \] ここで,\(\cos \angle AMB = - \cos \angle AMC\) と \(BM = CM\) より, \[ AM^2 + BM^2 - AB^2 = - AM^2 - BM^2 + AC^2 \] 略証2.(ベクトル)(これもオススメ)
\(\overrightarrow{MA} = \vec{a},\ \overrightarrow{MB} = \vec{b}\) とおくと,\(\overrightarrow{MC} = -\vec{b}\) となる。(\(1\)行目から\(2\)行目が,要は余弦定理\(2\)回分。) \[\begin{aligned} AB^2 + AC^2 &= |\vec{b} - \vec{a}|^2 + |-\vec{b} - \vec{a}|^2\\ &= |\vec{b} - \vec{a}|^2 + |-(\vec{b} + \vec{a})|^2 = |\vec{b} - \vec{a}|^2 + |\vec{b} + \vec{a}|^2 \\ &= (\vec{b} - \vec{a}) \cdot (\vec{b} - \vec{a}) + (\vec{b} + \vec{a}) \cdot (\vec{b} + \vec{a}) \\ &= (|\vec{b}|^2 - 2\vec{a} \cdot \vec{b} + |\vec{a}|^2) + (|\vec{b}|^2 + 2\vec{a} \cdot \vec{b} + |\vec{a}|^2) \\ &= 2|\vec{b}|^2 + 2|\vec{a}|^2 = 2BM^2 + 2AM^2 \end{aligned}\] Mを始点としたのがポイント!中点や外心を始点とするとラクになることは多い!
※座標設定もオススメ。この場合も,中点を原点とするとラク!
三角形の五心
Point 1A 5.4.1 重心
三角形の3本の中線(頂点とその対辺の中点を結ぶ線分)は1点Gで交わり,Gは各中線を\(\class{mathkuu}{\underline{2:1}}\)に分ける。
Gを重心という。
Gを重心という。

Point 1A 5.4.2 外心
三角形の3頂点を通る円(外接円)がただ一つあり,その中心Oを外心という。
各辺の垂直二等分線は1点Oで交わる。
各辺の垂直二等分線は1点Oで交わる。

Point 1A 5.4.3 内心
三角形の3辺に接する円(内接円)がただ一つあり、その中心Iを内心という。
3つの内角の二等分線は1点Iで交わる。
また,「内接円の半径\(r\)」を用いると,\(\triangle\)ABCの面積\(S\)は, \[S=\class{mathkuu}{\underline{\dfrac{1}{2}(a+b+c)r}}\]
3つの内角の二等分線は1点Iで交わる。
また,「内接円の半径\(r\)」を用いると,\(\triangle\)ABCの面積\(S\)は, \[S=\class{mathkuu}{\underline{\dfrac{1}{2}(a+b+c)r}}\]

Point 1A 5.4.4 垂心
三角形の各頂点から対辺に下ろした垂線は1点Hで交わり,Hを垂心という。

Point 1A 5.4.5 傍心
三角形の2辺の延長線と他の1辺に接する円(傍接円)があり,その中心Eを傍心という。
2つの外角の二等分線と他の1つの内角の二等分線は1点Eで交わる。 傍接円,傍心は1つの三角形に3つある。
2つの外角の二等分線と他の1つの内角の二等分線は1点Eで交わる。 傍接円,傍心は1つの三角形に3つある。

Point 1A 5.4.6 【参考】オイラー線
ちなみに,外心\(\mathrm{O}\),重心\(\mathrm{G}\),垂心\(\mathrm{H}\)は一直線上に並び,
\[
\mathrm{OG}:\mathrm{GH}=\class{mathkuu}{\underline{1:2}}
\]
この直線をオイラー線という。
※証明は外心を始点とした垂心の位置ベクトルを使うのがラクなので,数学ⅡBC「ベクトル」のオイラー線に載せている。そこで使う\(\overrightarrow{\mathrm{OH}}=\overrightarrow{\mathrm{OA}}+\overrightarrow{\mathrm{OB}}+\overrightarrow{\mathrm{OC}}\)も同章の垂心の位置ベクトルで示している。
※証明は外心を始点とした垂心の位置ベクトルを使うのがラクなので,数学ⅡBC「ベクトル」のオイラー線に載せている。そこで使う\(\overrightarrow{\mathrm{OH}}=\overrightarrow{\mathrm{OA}}+\overrightarrow{\mathrm{OB}}+\overrightarrow{\mathrm{OC}}\)も同章の垂心の位置ベクトルで示している。
比
Point 1A 5.5.1 線分比ときたら面積比も
「線分比を求めよ」ときたら・・・面積比も意識せよ!
「高さが共通な2つの三角形」の面積比は,底辺の比と同じ!同様に,「底辺が共通な2つの三角形」の面積比は,高さの比と同じ!線分比と面積比は行き来可能という発想は常に持っておこう。
右図でいえば,\(\triangle\)ABDと\(\triangle\)ADCは高さが共通なので
\[
S_1 : S_2 = \class{mathkuu}{\underline{m : n}}
\]
が成り立つ。面積比を聞かれたときも線分比の話に持ち込むことが多く,行き来は両方向で使う。

Point 1A 5.5.2 角の二等分線の定理
右図の\(\triangle\) ABC において、\(\angle \)A の内角または外角の二等分線と直線 BC の交点をDとすると、
\[
AB : AC=\class{mathkuu}{\underline{BD : DC}}
\]
右図のように,外角の二等分についても上式は成り立つ。
どちらも,点線の平行線を引き,相似と二等辺三角形を用いて証明できる。
「平行線で比を移す」という発想を持っておくとよい。
どちらも,点線の平行線を引き,相似と二等辺三角形を用いて証明できる。
「平行線で比を移す」という発想を持っておくとよい。

Point 1A 5.5.3 メネラウスの定理,チェバの定理
・メネラウスの定理:
\[
\class{mathkuu}{\underline{\frac{AP}{PB} \cdot \frac{BQ}{QC} \cdot \frac{CR}{RA}}} = \class{mathkuu}{\underline{1}}
\]
・チェバの定理:
\[
\class{mathkuu}{\underline{\frac{AP}{PB} \cdot \frac{BQ}{QC} \cdot \frac{CR}{RA}}} = \class{mathkuu}{\underline{1}}
\]
メネラウスの定理は平行線で比を移すことで、また、チェバの定理は\(\frac{AP}{PB} : \frac{\triangle KAC}{\triangle KBC}\)のように,各辺で線分比を面積比にすることで証明できる。
ぜひやってみてください。


円にまつわる性質まとめ
Point 1A 5.6.1 円周角の定理
「1つの弧に対する円周角の大きさは一定であり,その弧に対する中心角の半分である。」
(円周角)\(=\class{mathkuu}{\underline{\dfrac{1}{2}}}\times\)(中心角)
Point 1A 5.6.2 円周角の定理の逆
2点 \(P\), \(Q\) が直線 \(AB\) に関して同じ側にあるとき,
\[
\angle APB = \angle AQB
\]
ならば,4点 \(A\), \(B\), \(P\), \(Q\) は同一円周上にある.
Point 1A 5.6.3 円に内接する四角形の性質
四角形が円に内接する
\(\iff\) 四角形の向かい合う角の和(図の\(\alpha+\beta\))は \(\class{mathkuu}{\underline{180^\circ}}\)
(\(\because\) 円周角の定理より,対角の和は \(2\alpha + 2\beta\) の半分。また,\(2\alpha + 2\beta=360^\circ\) より \(\alpha + \beta=180^\circ\)) ※逆も成り立つ

Point 1A 5.6.4 方べきの定理

(左図で\(A\)と\(B\)が近づき,\( A = B \) となったと認識。)
※いずれも、その逆も成り立つ(つまり、それぞれ図のような円が存在する)。
※忘れてしまいがちだが,方べきはただの相似!
Point 1A 5.6.5 円と接線
右図で \( A, B \) が接点のとき、
\[
PA \perp \class{mathkuu}{\underline{OA}}, \quad PA = \class{mathkuu}{\underline{PB}}
\]
ちなみに,
\(\triangle OPA \backsim \triangle OAM \backsim \triangle APM\)
なども成り立つ。
意識しておこう。
意識しておこう。

Point 1A 5.6.6 接弦定理
図のように,三角形ACDが円に内接するならば,
\[
\angle XAC = \angle \class{mathkuu}{\underline{ADC}}
\] (\(\because\) 円周角の定理より,\(\angle ADC\ (= \angle AD^\prime C)\))
※方べきの定理の図3と同じ! ※逆も成り立つ。

空間図形
Point 1A 5.7.1 【意外と重要】直線と平面の垂直
直線 \( l \) が平面 \( \alpha \) 上のすべての直線に垂直であるとき、
\( l \) は \( \alpha \) に垂直であるといい、\( l \perp \alpha \) と書く。 \[l \perp \alpha \]
\( l \) は \( \alpha \) に垂直であるといい、\( l \perp \alpha \) と書く。 \[l \perp \alpha \]
\(\iff\) \(l\) が \(\alpha\) 上のすべての直線に垂直 (定義)
\({\color{red}{\iff}}\) \(l\) が \(\alpha\) 上の平行でない2直線に垂直

※平行な\(2\)直線だと,\(l\)が\(\alpha\)上に寝ていても垂直にできるのでNG。
Point 1A 5.7.2 三垂線の定理

① \( PO \perp \alpha, \, OA \perp l \) ならば、\( \class{mathkuu}{\underline{PA}} \perp \class{mathkuu}{\underline{l}} \)
② \( PO \perp \alpha, \, PA \perp l \) ならば、\( \class{mathkuu}{\underline{OA}} \perp \class{mathkuu}{\underline{l}} \)
③ \( PA \perp l, \, OA \perp l, \, PO \perp OA \) ならば、\( \class{mathkuu}{\underline{PO}} \perp \class{mathkuu}{\underline{\alpha}} \)
三垂線の定理が苦手な人へ
三垂線の定理は結局すべて「平面PAOと直線\(l\)の垂直」の話!であり,「直線と平面の垂直」の定義を複数回使っているだけであるから,覚えなくても大丈夫。
例えば①だと, \[\begin{aligned} \mathrm{PO}\perp 平面\alpha &\iff \mathrm{PO}\perp 平面\alpha 上の任意の直線\\ &\iff {\color{red}{\mathrm{P}}}{\color{blue}{\mathrm{O}}}\perp l \end{aligned}\] これと \({\color{blue}{\mathrm{O}}}{\color{green}{\mathrm{A}}}\perp l\) より,平面\(\mathrm{PAO}\)上の平行でない\(2\)直線が\(l\)と垂直なので \[ 平面{\color{red}{\mathrm{P}}}{\color{green}{\mathrm{A}}}{\color{blue}{\mathrm{O}}}\perp l \iff 平面\mathrm{PAO}上の任意の直線\perp l \] よって \(\mathrm{PA}\perp l\)。
ちなみに,色をつけたように,直線\({\color{red}{\mathrm{P}}}{\color{blue}{\mathrm{O}}}\perp l\) と 直線\({\color{blue}{\mathrm{O}}}{\color{green}{\mathrm{A}}}\perp l\) と分かった瞬間,\(3\)色の文字が入る平面\({\color{red}{\mathrm{P}}}{\color{blue}{\mathrm{O}}}{\color{green}{\mathrm{A}}}\perp l\) だと反応できると,四面体問題などでも役に立つ。
注:③では,前2つの条件からすぐに平面PAOと\(\alpha\)が垂直にはなるのだが,3つめの条件がないとPO が\( \alpha \)に垂直に刺さるかどうかが言えない。
三垂線の定理は結局すべて「平面PAOと直線\(l\)の垂直」の話!であり,「直線と平面の垂直」の定義を複数回使っているだけであるから,覚えなくても大丈夫。
例えば①だと, \[\begin{aligned} \mathrm{PO}\perp 平面\alpha &\iff \mathrm{PO}\perp 平面\alpha 上の任意の直線\\ &\iff {\color{red}{\mathrm{P}}}{\color{blue}{\mathrm{O}}}\perp l \end{aligned}\] これと \({\color{blue}{\mathrm{O}}}{\color{green}{\mathrm{A}}}\perp l\) より,平面\(\mathrm{PAO}\)上の平行でない\(2\)直線が\(l\)と垂直なので \[ 平面{\color{red}{\mathrm{P}}}{\color{green}{\mathrm{A}}}{\color{blue}{\mathrm{O}}}\perp l \iff 平面\mathrm{PAO}上の任意の直線\perp l \] よって \(\mathrm{PA}\perp l\)。
ちなみに,色をつけたように,直線\({\color{red}{\mathrm{P}}}{\color{blue}{\mathrm{O}}}\perp l\) と 直線\({\color{blue}{\mathrm{O}}}{\color{green}{\mathrm{A}}}\perp l\) と分かった瞬間,\(3\)色の文字が入る平面\({\color{red}{\mathrm{P}}}{\color{blue}{\mathrm{O}}}{\color{green}{\mathrm{A}}}\perp l\) だと反応できると,四面体問題などでも役に立つ。
注:③では,前2つの条件からすぐに平面PAOと\(\alpha\)が垂直にはなるのだが,3つめの条件がないとPO が\( \alpha \)に垂直に刺さるかどうかが言えない。
Point 1A 5.7.3 2平面のなす角,垂直
交わる2平面 \(\alpha,\ \beta\)の交線上の点Pから交線に垂直な直線PA,PBをそれぞれ \(\alpha,\ \beta\)上に引くと, Pのとり方に関係なく \(\angle\)APBの大きさは一定となる。
この角を2平面\(\alpha,\ \beta\)のなす角という。
この角を2平面\(\alpha,\ \beta\)のなす角という。

※Pに対しAとBを適当にとり\(\angle\)APB\(=90^\circ\)を2平面のなす角とするのは×。とり方により無数の角度が存在する。
Point 1A 5.7.4 オイラーの多面体定理
凸多面体(凹んでない)の頂点(vertex)の数を \( v \), 辺(edge)の数を \( e \), 面(face)の数を \( f \) とすると、
\[
\class{mathkuu}{\underline{v - e + f}}=\class{mathkuu}{\underline{2}}
\]
が成り立つ。1つの頂点に集まる面の数(3面以上)や,1つの辺に集まる面の数(つまり2面),1つの面にある辺の数などを考えて、上式とともに用いたりすることが多い。
※どれを引くのか忘れたら,立方体\((v=8,\ e=12,\ f=6)\)で思い出す!
※どれを引くのか忘れたら,立方体\((v=8,\ e=12,\ f=6)\)で思い出す!
Point 1A 5.7.5 正多面体
正多面体は,5種類しかない!
正四面体,正六面体(立方体),正八面体,正十二面体,正二十面体
正多面体の定義:
① すべての面が合同な正多角形で,
② 頂点に集まる面の数が等しい,
③ 凸多面体
を,正多面体という。
② 頂点に集まる面の数が等しい,
③ 凸多面体
を,正多面体という。
その他方針立ての重要ポイント
Point 1A 5.8.1 【参考】トレミーの定理
四角形 \(ABCD\) が円に内接するとき,次の等式が成り立つ.
\[
AC \cdot BD = \class{mathkuu}{\underline{AD \cdot BC + AB \cdot DC}}
\]
右図の記号でいえば
\[
ef = \class{mathkuu}{\underline{bd + ac}}
\]
※余弦定理と円に内接する四角形の性質も合わせて使い,対角線の長さを表すことで示される。
Point 1A 5.8.2 円絡みの三角形・四角形ときたら相似を探せ
円絡みの三角形,四角形ときたら・・・相似を探せ!
上図では,同じ弧に対する円周角が等しいことから \(\triangle\)PAB と \(\triangle\)PCD が相似になる。

Point 1A 5.8.3 同じ図形量を2通りで表せ
同じ図形量を2通りで表せ!
ある辺を2通りで,ある面積を2通りで,ある体積を2通りで・・・表すことで連立方程式を解き,図形量を求めるのは頻出テクニック!
ある辺を2通りで,ある面積を2通りで,ある体積を2通りで・・・表すことで連立方程式を解き,図形量を求めるのは頻出テクニック!
Point 1A 5.8.4 二等辺三角形の頂角の二等分線
二等辺三角形の頂角の二等分線は底辺を垂直に二等分する!
Point 1A 5.8.5 【重要】四面体は対称性を利用せよ
(特に四面体問題において・・・)対称性は利用せよ!
たとえば \(\mathrm{AB}=\mathrm{AC}\) かつ \(\mathrm{DB}=\mathrm{DC}\) の四面体\(\mathrm{ABCD}\)は,辺\(\mathrm{BC}\)を共有する二等辺三角形が2枚,ぱっくり開いた形になっている。このとき\(\mathrm{BC}\)の中点\(\mathrm{M}\)をとると,二等辺三角形の性質(Point5.8.4)から
\[
\mathrm{AM}\perp \mathrm{BC},\qquad \mathrm{DM}\perp \mathrm{BC}
\]
がともに成り立つ。平行でない2直線と垂直なのでPoint5.7.1より,\(\class{mathkuu}{\underline{平面\mathrm{AMD}\perp \mathrm{BC}}}\)。 つまり平面\(\mathrm{AMD}\)がこの四面体の対称面になっている。\(\mathrm{BC}\)に垂直な平面が\(1\)枚見つかると,Point5.8.6のように体積計算などで大きな力になる。「二等辺三角形のぱっくんちょ」があったら,まず「共有する辺の中点をとる」のが定石。

Point 1A 5.8.6 【重要】四面体の体積で詰まったら高さの取り方
四面体の体積は\(\dfrac{1}{3}\times\)(底面積)\(\times\)(高さ)だが,どの面を底面に選ぶかで難しさが全く変わる。 →高さが取りやすい平面がないかを探せ! たとえば前のPointの四面体(\(\mathrm{AB}=\mathrm{AC}\)かつ\(\mathrm{DB}=\mathrm{DC}\))なら,\(\mathrm{BC}\)の中点\(\mathrm{M}\)について \(\mathrm{AM}\perp\mathrm{BC}\),\(\mathrm{DM}\perp\mathrm{BC}\) なので
\[
\class{mathkuu}{\underline{\mathrm{BC}\perp \text{平面}\mathrm{AMD}}}
\]
つまり底面を\(\triangle\mathrm{AMD}\),高さを\(\mathrm{BC}\)にとれば,\(\mathrm{BC}\)が底面に垂直に刺さっているのでそのまま体積が出せる。 \(\triangle\mathrm{AMD}\)の面積は\(\mathrm{AM},\ \mathrm{DM},\ \mathrm{AD}\)が分かれば余弦定理と面積公式で求まる。垂直な辺を高さにできる向きを探すのがこの型の要。
Point 1A 5.8.7 【重要】頂点から生える3辺が等しい四面体
正三角錐のように,\(1\)つの頂点から生える\(3\)辺が等しい四面体(等脚四面体と呼ぶことにする)ときたら・・・ →その頂点から底面に垂線を下ろすと,足は必ず底面の三角形の外心に一致する!(正三角錐なら正三角形の外心\(=\)重心)

証明(まずは幾何!相似・合同!の発想で)
\(\mathrm{AB}=\mathrm{AC}=\mathrm{AD}\) の四面体\(\mathrm{ABCD}\)で,\(\mathrm{A}\)から底面\(\mathrm{BCD}\)に下ろした垂線の足を\(\mathrm{H}\)とする。
\(\mathrm{AH}\perp\)底面 より,\(\mathrm{AH}\)は底面上のどの直線とも垂直だから \[ \angle \mathrm{AHB}=\angle \mathrm{AHC}=\angle \mathrm{AHD}=90^\circ \] よって\(\triangle \mathrm{AHB}\),\(\triangle \mathrm{AHC}\),\(\triangle \mathrm{AHD}\)はどれも直角三角形で,
※逆も問われる。\(2016\)年京都大学(理系)第\(3\)問は,「四面体\(\mathrm{OABC}\)の頂点\(\mathrm{A}\),\(\mathrm{B}\),\(\mathrm{C}\)からそれぞれの対面へ下ろした垂線が,いずれもその対面の外心を通るならば,正四面体であることを示せ」という問題。上の議論を逆向きにたどると,\(\mathrm{HB}=\mathrm{HC}=\mathrm{HD}\)と直角と\(\mathrm{AH}\)共通から\(3\)つの直角三角形が合同になり,\(\mathrm{AB}=\mathrm{AC}=\mathrm{AD}\)が言える。これを\(3\)頂点で繰り返せば全辺が等しい。\(\mathrm{AB}=\mathrm{AC}=\mathrm{AD}\) の四面体\(\mathrm{ABCD}\)で,\(\mathrm{A}\)から底面\(\mathrm{BCD}\)に下ろした垂線の足を\(\mathrm{H}\)とする。
\(\mathrm{AH}\perp\)底面 より,\(\mathrm{AH}\)は底面上のどの直線とも垂直だから \[ \angle \mathrm{AHB}=\angle \mathrm{AHC}=\angle \mathrm{AHD}=90^\circ \] よって\(\triangle \mathrm{AHB}\),\(\triangle \mathrm{AHC}\),\(\triangle \mathrm{AHD}\)はどれも直角三角形で,
- 斜辺が \(\mathrm{AB}=\mathrm{AC}=\mathrm{AD}\)
- 他の\(1\)辺 \(\mathrm{AH}\) が共通
※正三角錐とは,底面が正三角形で側面がすべて合同な二等辺三角形になっている(高さはいくらでもよい)四面体のこと。正四面体はその特別な場合。
Point 1A 5.8.8 等面四面体は直方体から削り出せ
すべての面が合同な四面体(等面四面体)ときたら・・・
→直方体から削り出せ! 図のように,直方体の各面の対角線をとると四面体\(\mathrm{BDGE}\)ができる。向かい合う辺(同じ色の辺)は,向かい合う\(2\)面の対角線どうしなので,その\(2\)面が合同な長方形だから長さが等しい。
つまり\(3\)組の対辺がそれぞれ等しく,どの面も\(3\)辺の長さが同じ組み合わせになるので,\(4\)つの面はすべて合同。逆に等面四面体はこの形で作れる。
→直方体から削り出せ! 図のように,直方体の各面の対角線をとると四面体\(\mathrm{BDGE}\)ができる。向かい合う辺(同じ色の辺)は,向かい合う\(2\)面の対角線どうしなので,その\(2\)面が合同な長方形だから長さが等しい。
つまり\(3\)組の対辺がそれぞれ等しく,どの面も\(3\)辺の長さが同じ組み合わせになるので,\(4\)つの面はすべて合同。逆に等面四面体はこの形で作れる。

Point 1A 5.8.9 立体で詰まったら平面を抜き出す・正射影
立体で考えることに詰まったら・・・必要な平面を選んで抜きだせ!または正射影(投影図)を考えよ!
この章の振り返り
いかがでしたでしょうか。この章は「図形と計量」と「図形の性質」という\(2\)つの単元をまとめたものですが、実質は図形問題を前にしたときに、どの道具を選ぶかを身につける章でした。だから最初に図形問題の全体像を置いています。図形問題の解法は大きく分けて、初等幾何・三角比・座標・ベクトル(そして数Ⅲの複素数平面)の\(4\)つか\(5\)つです。この章で扱ったのはそのうち初等幾何と三角比の\(2\)つですが、大事なのはどれか\(1\)つを極めることではなく、目の前の問題がどれ向きかを見分けることでした。角度の等しさや円が主役なら初等幾何、辺の長さと角を同時に扱いたいなら三角比、というのが大まかな目安です。手が止まったときは計算を続けるのではなく、解法そのものを乗り換えてみてください。
三角比のところでは、正弦定理と余弦定理の使い分けが中心でした。向かい合う辺と角のペアが見えたら正弦定理、\(3\)辺または\(2\)辺と挟む角なら余弦定理という対応です。そして三角形は「\(3\)辺・\(3\)角・外接円の半径・内接円の半径・面積」という\(9\)つの量のうち、だいたい\(3\)つ決まれば他も決まります。この感覚があると、求まる見込みがあるのかどうかを最初に判断できるようになります。面積公式を\(2\)辺と挟む角の形で覚えておくのも同じ理由です。
五心は名前が\(5\)つ並ぶので覚えにくく感じますが、それぞれ「何の交点か」の\(1\)点だけを押さえれば十分でした。重心は中線の交点で\(2:1\)に内分、外心は垂直二等分線の交点で\(3\)頂点から等距離、内心は内角の二等分線の交点で\(3\)辺から等距離、垂心は垂線の交点、傍心は\(1\)つの内角と\(2\)つの外角の二等分線の交点です。「何の交点か」が分かれば、そこから使える性質は自分で導けます。外心・重心・垂心が一直線に並ぶオイラー線は、ベクトルを使うと一瞬で証明できるので、数ⅡBCのベクトル章と行き来してみてください。
比の分野では、線分比と面積比は行き来できるという発想が要でした。高さが共通なら面積比は底辺の比に等しい。この\(1\)つで、線分比を聞かれたときに面積で攻める、面積比を聞かれたときに線分で攻める、という両方向の手が使えます。メネラウスとチェバは、どの点を出発してどう一周するかさえ決めてしまえば機械的に立式できます。使う場面を見分けられるようになると、補助線を引かずに済む問題がかなり増えます。
円まわりは、この章でもっとも定理の数が多いところでした。円周角の定理とその逆、円に内接する四角形の性質、方べきの定理、接線の性質、接弦定理。定理の名前は多いのですが、中身はほとんど相似と円周角の言い換えです。方べきの定理も、結局は\(2\)つの三角形が相似であることから出てくる関係にすぎません。丸暗記するより、なぜその\(2\)つが相似になるのかを一度たどっておくほうが、忘れたときに自力で復元できます。逆も成り立つ、という点も見落としがちなので意識しておいてください。
空間図形では、直線と平面の垂直の扱いが最大の山でした。平面上の平行でない\(2\)直線と垂直なら、その平面と垂直。この一点さえ押さえれば、三垂線の定理は覚える必要がありません。実際、三垂線の定理はこの定義を\(2\)回使っているだけです。「平行でない」という条件がなぜ必要なのかも、一度考えてみる価値があります。
最後に置いた方針立てのポイントは、実戦でいちばん効く部分です。四面体では対称性を探す、等面四面体は直方体から削り出す、立体で詰まったら必要な平面を抜き出すか正射影を考える。どれも\(3\)次元のまま考えようとして詰まったときの逃げ道です。空間図形が苦手な人の多くは、立体のまま処理しようとして手が止まっています。平面に落とす、という一手を持っておいてください。
そしてこの章で身につけた図形の見方は、数ⅡBCの図形と方程式やベクトル、数ⅢCの複素数平面でもそのまま土台になります。座標を置く、ベクトルで表す、複素数で回転させる——どの道具を使うにしても、「どの図形量が分かればゴールに届くのか」を見積もる力は共通です。逆に言えば、ここで初等幾何と三角比の引き出しを持っておかないと、後の単元で「座標を置いたのに計算が終わらない」という状況に陥ります。実際、円がからむ問題や角度の等しさが主役の問題では、ベクトルより初等幾何のほうが速いことがよくあります。
この章は暗記する定理が多く見えますが、実際に覚えるべきは「この形が見えたらこの手」という対応だけです。\(3\)辺が分かれば余弦定理、円周上に\(4\)点あれば円周角か内接四角形、線分比を聞かれたら面積比も、立体で詰まったら平面を抜き出す。定理そのものより、定理を呼び出すきっかけのほうを覚えてください。公式が思い出せなくても、方針さえ立てば教科書を引いて解き切れます。