1A 第3章
3. 2次関数
2次関数の全体像
高校数学の全体像のように,「○○関数」というのは高校数学の中で大きなウエイトを占めるテーマであり,1次関数については既習である。そして,「○○関数」と名の付く分野では・・・
\(①\)グラフ\(②\)方程式・不等式\(③\)最大・最小が3大テーマ!
この「3つの目次」を意識しながらマスターしていこう!
Point 1A 3.1.1 2次関数で問われること
2次関数の問題には,たとえば次のようなものがある。
- (i) グラフを描く・移動する\(\cdots\) 平方完成して頂点を出す,など
- (ii) 最大・最小を求める\(\cdots\) 軸と定義域の位置関係で場合分け
- (iii) 方程式・不等式を解く\(\cdots\) グラフを描いて,\(x\)軸より上か下かを読む
- (iv) 条件から係数を決める(逆問題)\(\cdots\) 条件を判別式・軸・端点の符号に翻訳する
- (v) 解の配置\(\cdots\) (iv)の総合演習(章末で扱う)
グラフの基本事項
Point 1A 3.2.1 関数・定義域・値域
\(x\) の値を\(1\)つ決めると \(y\) の値がただ\(1\)つ決まるとき,\(y\) は \(x\) の関数であるといい,\(y=f(x)\) と書く。\(x=a\) のときの値は \(\class{mathkuu}{\underline{f(a)}}\) と表す。
- (i) 定義域\(\cdots\) \(\class{mathkuu}{\underline{x}}\) のとりうる値の範囲
- (ii) 値域\(\cdots\) \(\class{mathkuu}{\underline{y}}\) のとりうる値の範囲
Point 1A 3.2.2 グラフ上の点
関数 \(y=f(x)\) を満たす点 \((x,\ y)\),すなわち点 \((x,\ \class{mathkuu}{\underline{f(x)}})\) 全体で作られる図形を,この関数のグラフという。そして,
点 \((a,\ b)\) が関数 \(y=f(x)\) のグラフ上にある \(\iff\) \(\class{mathkuu}{\underline{b=f(a)}}\)
※ 「グラフ上にある」とは「代入すると成り立つ」ということ。当たり前に見えるが,「通る点」の条件を式に直すのはこの一言が根拠になっている。2次関数の決定でも,共有点の計算でも,毎回これを使っている。 Point 1A 3.2.3 2次関数・放物線
\(x\) の2次式で表される関数を \(x\) の2次関数といい,一般に次の式で表される。
\[
\class{mathkuu}{\underline{y = ax^2 + bx + c}} \qquad (a, b, c \text{ は定数},\ \class{mathkuu}{\underline{a \mathrel{\bcancel{\mkern-8mu=\mkern-8mu}} 0}})
\]
また,そのグラフは放物線で,\(y = ax^2 + bx + c\) を放物線の方程式という。
Point 1A 3.2.4 \(y=ax^2\) のグラフ
\(y=ax^2\) のグラフは放物線で
- 軸は 直線 \(\class{mathkuu}{\underline{x=0}}\)(\(y\)軸), 頂点は 点 \(\class{mathkuu}{\underline{(0,\ 0)}}\)(原点)
- \(a>0\) のとき 下に凸, \(a<0\) のとき 上に凸
Point 1A 3.2.5 2次関数の表し方まとめ
2次関数の表し方は大きく3通り!
① 一般形: \(y=ax^2+bx+c\)
② 平方完成: \(y=a(x-p)^2+q\) →軸と頂点が絡むとき有効(軸\(x=\class{mathkuu}{\underline{p}}\),頂点\(\class{mathkuu}{\underline{(p,\ q)}}\))
③ 因数分解: \(y=a(x-\alpha)(x-\beta)\) →\(x\)軸との共有点が絡むとき有効
(\(\alpha,\ \beta\) は\(x\)軸との共有点の\(x\)座標。接するときは\(\alpha=\beta\)なので,\(y=a(x-\alpha)^2\))
① 一般形: \(y=ax^2+bx+c\)
② 平方完成: \(y=a(x-p)^2+q\) →軸と頂点が絡むとき有効(軸\(x=\class{mathkuu}{\underline{p}}\),頂点\(\class{mathkuu}{\underline{(p,\ q)}}\))
③ 因数分解: \(y=a(x-\alpha)(x-\beta)\) →\(x\)軸との共有点が絡むとき有効
(\(\alpha,\ \beta\) は\(x\)軸との共有点の\(x\)座標。接するときは\(\alpha=\beta\)なので,\(y=a(x-\alpha)^2\))
Point 1A 3.2.6 平方完成のやり方
一般形 \(y=ax^2+bx+c\) を \(y=a(x-p)^2+q\) の形に直す操作を平方完成という。
- (i) まず \(x^2\) と \(x\) の項を,\(x^2\) の係数 \(\class{mathkuu}{\underline{a}}\) でくくる
- (ii) 中の \(x\) の係数を半分にして\(2\)乗の形をつくり,余分に足した分を引く
- (iii) 定数項を整理する
【例】\(y=3x^2+12x+5\)
\(y=3(x^2+4x)+5=3\{(x+\class{mathkuu}{\underline{2}})^2-\class{mathkuu}{\underline{4}}\}+5=3(x+2)^2\class{mathkuu}{\underline{-7}}\)
よって 軸は 直線 \(x=-2\),頂点は 点 \((-2,\ -7)\)
※ 平方完成は計算作業ではなく,散らばった情報を頂点という一点に集める操作である。この章の話は,ほぼすべてここから始まる。 \(y=3(x^2+4x)+5=3\{(x+\class{mathkuu}{\underline{2}})^2-\class{mathkuu}{\underline{4}}\}+5=3(x+2)^2\class{mathkuu}{\underline{-7}}\)
よって 軸は 直線 \(x=-2\),頂点は 点 \((-2,\ -7)\)
Point 1A 3.2.7 2次関数 \(y = ax^2 + bx + c\) のグラフ
\(y = ax^2\) のグラフを平行移動した放物線で
- 軸は 直線 \(x = -\dfrac{b}{2a}\),頂点は 点 \(\left(-\dfrac{b}{2a},\ -\dfrac{b^2 - 4ac}{4a} \right)\)
- \(a > 0\) のとき 下に凸,\(a < 0\) のとき 上に凸
平行移動・対称移動総まとめ
Point 1A 3.3.1 点の平行移動・対称移動
・移動:点 \((a, b)\) を \(x\) 軸方向に \(p\),\(y\) 軸方向に \(q\) だけ移動した点の座標は\((\class{mathkuu}{\underline{a + p}},\ \class{mathkuu}{\underline{b + q}})\)
・対称移動:点 \((a, b)\) を
・対称移動:点 \((a, b)\) を
\(x\) 軸に関して対称移動すると 点 \((\class{mathkuu}{\underline{a}},\ \class{mathkuu}{\underline{-b}})\) に移る。
\(y\) 軸に関して対称移動すると 点 \((\class{mathkuu}{\underline{-a}},\ \class{mathkuu}{\underline{b}})\) に移る。
原点に関して対称移動すると 点 \((\class{mathkuu}{\underline{-a}},\ \class{mathkuu}{\underline{-b}})\) に移る。
Point 1A 3.3.2 曲線の平行移動
曲線\(y=f(x)\) を\(x\)軸方向に\(p\)、\(y\)軸方向に\(q\)平行移動ときたら\(\cdots\)
→\(xを\class{mathkuu}{\underline{x-p}}に、yを\class{mathkuu}{\underline{y-q}}におきかえる!\)
すなわち,移動後の曲線の方程式は\(\class{mathkuu}{\underline{y-q}}=\class{mathkuu}{\underline{f(x-p)}}\: \left(\text{or,} \ \ y=\class{mathkuu}{\underline{f(x-p)+q}}\right)\)
すなわち,移動後の曲線の方程式は\(\class{mathkuu}{\underline{y-q}}=\class{mathkuu}{\underline{f(x-p)}}\: \left(\text{or,} \ \ y=\class{mathkuu}{\underline{f(x-p)+q}}\right)\)
Point 1A 3.3.3 曲線の対称移動
曲線\(y=f(x)\)を,
- \(x\)軸に関して対称移動ときたら\(\cdots\) \(\class{mathkuu}{\underline{y}}\)を\(\class{mathkuu}{\underline{-y}}\)におきかえる。 \(すなわち,\class{mathkuu}{\underline{-y=f(x)\: (y=-f(x))}}\)
- \(y\)軸に関して対称移動ときたら\(\cdots\) \(\class{mathkuu}{\underline{x}}\)を\(\class{mathkuu}{\underline{-x}}\)におきかえる。 \(すなわち,\class{mathkuu}{\underline{y=f(-x)}}\)
- 原点に関して対称移動ときたら\(\cdots\) \(\class{mathkuu}{\underline{xを-xに、yを-y}}\)におきかえる。 \(すなわち,\class{mathkuu}{\underline{-y=f(-x)\: (y=-f(-x))}}\)
最大・最小
本章では方程式・不等式より先に最大・最小を扱う。Point 1A 3.4.1 2次関数の最大・最小(定義域に制限なし)
\(y=a(x-p)^2+q\) について
- \(a>0\) のとき\(\cdots\) \(x=\class{mathkuu}{\underline{p}}\) で最小値 \(\class{mathkuu}{\underline{q}}\) をとり,最大値はない
- \(a<0\) のとき\(\cdots\) \(x=\class{mathkuu}{\underline{p}}\) で最大値 \(\class{mathkuu}{\underline{q}}\) をとり,最小値はない
Point 1A 3.4.2 定義域に制限があるときたら・・・
→ 平方完成して,定義域を実線で図示せよ! そのうえで,頂点と定義域の端での \(y\) の値を比べる。 \(a>0\),定義域 \(s\leqq x\leqq t\),軸 \(x=p\) のとき
- (i) 【最小】は,軸と定義域の両端を比べて\(3\)通り
\(p<s\) なら \(x=\class{mathkuu}{\underline{s}}\), \(s\leqq p\leqq t\) なら \(x=\class{mathkuu}{\underline{p}}\)(頂点), \(t<p\) なら \(x=\class{mathkuu}{\underline{t}}\) - (ii) 【最大】は,軸と定義域の中央\(\left(=\dfrac{\class{mathkuu}{\underline{s+t}}}{2}\right)\)を比べて\(3\)通り
軸が中央より左なら \(x=t\), ちょうど中央なら \(x=s\) と \(x=t\) の両方, 中央より右なら \(x=s\)
最小と最大で,場合分けの境界が違う!
※ \(a<0\) のときは最大と最小が入れかわる。\(2\)乗の係数の符号を必ず先に確認すること。 Point 1A 3.4.3 軸が動くときたら・・・
定義域が固定で,軸に文字が入っているとき\(\cdots\) → 軸が定義域の左外・内・右外のどこにあるかで場合分け!(最小なら\(3\)通り)
【例1】\(y=x^2-2ax+a^2+3\) \((1\leqq x\leqq 4)\) の最小値を求めよ。
平方完成して \(y=x^2-2ax+a^2+3=(x-\class{mathkuu}{\underline{a}})^2+3\) より,軸は 直線 \(x=a\),頂点は 点 \((a,\ 3)\)。
※ 同じ関数で最大を聞かれたら,境界は中央\(\left(x=\dfrac{5}{2}\right)\)になる。 定数部分の作り方を変えると,最小値の関数 \(m(a)\) の形も変わる。次の\(2\)つは解答を載せないので,下の図で結果の形だけ確かめてみよう。 平方完成して \(y=x^2-2ax+a^2+3=(x-\class{mathkuu}{\underline{a}})^2+3\) より,軸は 直線 \(x=a\),頂点は 点 \((a,\ 3)\)。
- (i) \(a<1\) のとき\(\cdots\) \(x=\class{mathkuu}{\underline{1}}\) で 最小値 \(a^2-2a+4\)
- (ii) \(1\leqq a\leqq 4\) のとき\(\cdots\) \(x=a\) で 最小値 \(\class{mathkuu}{\underline{3}}\)
- (iii) \(4<a\) のとき\(\cdots\) \(x=\class{mathkuu}{\underline{4}}\) で 最小値 \(a^2-8a+19\)
【例2】\(y=x^2-2ax+a^2+2a\) \((1\leqq x\leqq 4)\) の最小値を求めよ。
【例3】\(y=x^2-2ax+2a^2\) \((1\leqq x\leqq 4)\) の最小値を求めよ。
※ 頂点の\(y\)座標に \(a\) が残るかどうかで,真ん中の場合の形が変わる。例1は定数,例2は\(1\)次,例3は\(2\)次。頂点が動く道すじ(例2なら直線 \(y=2x\),例3なら放物線 \(y=x^2\))を見るとつかみやすい。 ※ さらに「\(m(a)\) の最小値を求めよ」と問われることもある。\(m(a)\) のグラフをかいて,その一番低いところを読めばよい。 【例3】\(y=x^2-2ax+2a^2\) \((1\leqq x\leqq 4)\) の最小値を求めよ。
Point 1A 3.4.4 定義域が動くときたら・・・
軸が固定で,定義域の端に文字が入っているとき\(\cdots\) → 軸が定義域に入るか入らないかで場合分けし,その条件を文字の不等式に翻訳せよ!
【例】\(y=x^2-6x+4\) \((0\leqq x\leqq a,\ a>0)\) の最小値を求めよ。
\(y=(x-3)^2-5\) より,軸は 直線 \(x=\class{mathkuu}{\underline{3}}\)。
※ 幅が一定の区間 \(a\leqq x\leqq a+2\) が動く型も同じ。両端をそれぞれ軸と比べ,\(a\) の不等式に直す。 \(y=(x-3)^2-5\) より,軸は 直線 \(x=\class{mathkuu}{\underline{3}}\)。
- (i) \(0<a<3\)(軸が定義域の外)のとき\(\cdots\) \(x=\class{mathkuu}{\underline{a}}\) で 最小値 \(a^2-6a+4\)
- (ii) \(3\leqq a\)(軸が定義域の中)のとき\(\cdots\) \(x=3\) で 最小値 \(\class{mathkuu}{\underline{-5}}\)
Point 1A 3.4.5 文章題の注意点
2次関数に限らず,文章題は・・・文字の範囲をチェック!
変数を\(1\)つ定めたら,その文字がとりうる範囲を問題文の条件から必ず書き出す。範囲を落とすと,頂点が範囲の外にあるときに答えを間違える。
【例】ある品物を\(1\)個\(300\)円で売ると\(1\)日に\(200\)個売れる。\(1\)個につき \(x\) 円値下げすると,売れる個数は \(2x\) 個増える。ただし\(1\)個の値段は仕入れ値の\(250\)円を下回らないようにする。\(1\)日の売上金額を最大にするには,いくら値下げすればよいか。
売上金額は \(y=(300-x)(200+2x)=-2(x-\class{mathkuu}{\underline{100}})^2+80000\)
範囲は \(x\geqq 0\) かつ \(300-x\geqq 250\) より \(\class{mathkuu}{\underline{0\leqq x\leqq 50}}\)
頂点 \(x=100\) は範囲の外だから,\(x=\class{mathkuu}{\underline{50}}\) のとき 最大値 \(75000\) 円(\(1\)個\(250\)円で\(300\)個)
※ 範囲を書かずに「頂点だから \(x=100\)」としてしまうと,\(1\)個\(200\)円=仕入れ値を下回るという,あり得ない答えになる。 ※ 出した答えが問題の状況に合っているかも最後に確かめる。個数・人数なら整数か,長さ・金額なら正か,など。 ※ 長さや距離などルートを含む量の最大・最小ときたら\(\cdots\) \(l>0\) のとき「\(\class{mathkuu}{\underline{l^2}}\) が最小 \(\iff\) \(l\) が最小」。ルートのまま扱わず,\(l^2\) を\(2\)次関数とみればよい。 なぜこの言いかえが許されるのかは,EX「式を見て思うこと」の大小の言いかえと単調性を参照。 売上金額は \(y=(300-x)(200+2x)=-2(x-\class{mathkuu}{\underline{100}})^2+80000\)
範囲は \(x\geqq 0\) かつ \(300-x\geqq 250\) より \(\class{mathkuu}{\underline{0\leqq x\leqq 50}}\)
頂点 \(x=100\) は範囲の外だから,\(x=\class{mathkuu}{\underline{50}}\) のとき 最大値 \(75000\) 円(\(1\)個\(250\)円で\(300\)個)
2次関数の決定
Point 1A 3.5.1 2次関数を決定ときたら・・・
→ 与えられた条件によって,おく形を選べ!(表し方は3.2.5を参照)
- (i) 頂点 \((p,\ q)\) が分かっている\(\cdots\) \(y=\class{mathkuu}{\underline{a(x-p)^2+q}}\) とおく(未知数は \(a\) の\(1\)個 → 通る点\(1\)つで決まる)
- (ii) 軸 \(x=p\) だけ分かっている\(\cdots\) \(y=a(x-p)^2+q\) とおく(未知数は \(a,\ q\) の\(\class{mathkuu}{\underline{2}}\)個 → 通る点\(2\)つ)
- (iii) \(x\)軸との交点 \(\alpha,\ \beta\) が分かっている\(\cdots\) \(y=\class{mathkuu}{\underline{a(x-\alpha)(x-\beta)}}\) とおく
- (iv) 通る\(3\)点が分かっている\(\cdots\) \(y=\class{mathkuu}{\underline{ax^2+bx+c}}\) とおき,\(3\)つの式を連立する
2次方程式と2次不等式
Point 1A 3.6.1 2次方程式 \(ax^2 + bx + c = 0\) の解法 (\(a, b, c\) は実数,\(a \mathrel{\bcancel{\mkern-8mu=\mkern-8mu}} 0\))
- ① 因数分解を利用 \(ax^2 + bx + c = (px + q)(rx + s)\),\(p,\ r\mathrel{\bcancel{\mkern-8mu=\mkern-8mu}} 0\) のとき,
\(ax^2 + bx + c = 0\) の解は \(x = \class{mathkuu}{\underline{-\dfrac{q}{p}}},\ \class{mathkuu}{\underline{-\dfrac{s}{r}}}\)
- ② 平方根の考えを利用 \((x - p)^2 = q\ (q > 0)\) の解は \(x = \class{mathkuu}{\underline{p \pm \sqrt{q}}}\)
- ③ 2次方程式の解の公式を利用 \(ax^2 + bx + c = 0\) の解は,\(b^2 - 4ac \geqq 0\) のとき \[ x = \class{mathkuu}{\underline{\dfrac{-b \pm \sqrt{b^2 - 4ac}}{2a}}} \] 特に,\(b = 2b'\) ならば \[ x = \class{mathkuu}{\underline{\dfrac{-b' \pm \sqrt{{b'}^2 - ac}}{a}}} \]
Point 1A 3.6.2 判別式
2次方程式 \(ax^2 + bx + c = 0\) の判別式を \(D = b^2 - 4ac\) とすると,方程式の解について次のことが成り立つ。
\[\begin{aligned}
D > 0 &\Longleftrightarrow \class{mathkuu}{\underline{異なる2つの実数解}}\text{をもつ} \\
D = 0 &\Longleftrightarrow \class{mathkuu}{\underline{ただ1つの実数解(重解)}}\text{をもつ} \\
D < 0 &\Longleftrightarrow \text{実数解を}\class{mathkuu}{\underline{もたない}}
\end{aligned}\]
- よって,\(D \geqq 0 \Longleftrightarrow\) 実数解をもつ
- \(\hspace{4em} D < 0 \Longleftrightarrow\) 実数解をもたない
Point 1A 3.6.3 【重要】方程式の解とグラフの共有点の\(x\)座標の関係
\(f(x)=ax^2+bx+c\) とおく。2次関数 \(y = f(x)\) のグラフと \(x\) 軸の共有点の \(x\) 座標は,2次方程式 \(ax^2 + bx + c = 0\) の実数解である。したがって,次のことがいえる。(詳しくは,point 3.7.2)
方程式\(f(x)=0\)の解 \(\iff\) グラフ \(y=\class{mathkuu}{\underline{f(x)}}\) と\(y=\class{mathkuu}{\underline{0}} \ (\class{mathkuu}{\underline{x}}\)軸)の共有点の\(x\)座標
Point 1A 3.6.4 判別式と共有点の個数
上のことから,2次方程式 \(ax^2 + bx + c = 0\) の判別式を \(D = b^2 - 4ac\) とすると,\(y=ax^2 + bx + c\)のグラフと\(x\)軸\((直線y=0)\)の共有点の個数は次の通り:
\[\begin{aligned}
D > 0 &\Longleftrightarrow \text{共有点}\class{mathkuu}{\underline{2}}\text{個} \\
D = 0 &\Longleftrightarrow \text{共有点}\class{mathkuu}{\underline{1}}\text{個} \\
D < 0 &\Longleftrightarrow \text{共有点}\class{mathkuu}{\underline{0}}\text{個}
\end{aligned}\]
- よって,\(D \geqq 0 \Longleftrightarrow\) 共有点を\(\class{mathkuu}{\underline{もつ}}\)(2次方程式 \(ax^2 + bx + c = 0\)が,実数解をもつ)
- \(\ \hspace{3.3em}D < 0 \Longleftrightarrow\) 共有点を\(\class{mathkuu}{\underline{もたない}}\)(2次方程式 \(ax^2 + bx + c = 0\)が,実数解をもたない)
Point 1A 3.6.5 2次不等式ときたら・・・
→ グラフを描いて,\(x\)軸より上か下かを読め!
※ 覚えるものではない。そのつどグラフを描けば全部読める。特に \(D\leqq 0\) の列は,答えが「すべての実数」か「解はない」の両極端になるので,グラフを見ずに書くと必ず取り違える。
- (i) まず \(x^2\) の係数を正にそろえる
(負なら両辺に \(\class{mathkuu}{\underline{-1}}\) を掛ける。このとき不等号の向きが変わる) - (ii) 因数分解できるなら,\(2\)解 \(\alpha,\ \beta\) をそのまま読む
できないなら,解の公式または判別式で \(x\)軸との交わり方を判定する - (iii) グラフを描いて,求める範囲を読む
| \(D>0\)(\(2\)点で交わる) | \(D=0\)(接する) | \(D<0\)(共有点なし) | |
| \(ax^2+bx+c>0\) | \(x<\alpha,\ \beta<x\) | \(\alpha\)以外のすべての実数 | すべての実数 |
| \(ax^2+bx+c\geqq 0\) | \(x\leqq\alpha,\ \beta\leqq x\) | すべての実数 | すべての実数 |
| \(ax^2+bx+c<0\) | \(\alpha<x<\beta\) | 解はない | 解はない |
| \(ax^2+bx+c\leqq 0\) | \(\alpha\leqq x\leqq\beta\) | \(x=\alpha\) | 解はない |
Point 1A 3.6.6 連立2次不等式ときたら・・・
→ それぞれ解いて (i)(ii) と番号を振り,数直線で共通範囲を読め! ※ \(A\leqq B\leqq C\) の形も,連立に直せば同じ。 ※ 答えが\(2\)つの区間に割れることがある。数直線を描かずに済ませようとすると,ここで落とす。
【例】\(\begin{cases} x^2-x-6<0 \\ x^2-2x\geqq 0 \end{cases}\)
(i) \((x-3)(x+2)<0\) より \(\class{mathkuu}{\underline{-2<x<3}}\)
(ii) \(x(x-2)\geqq 0\) より \(x\leqq 0,\ 2\leqq x\)
共通範囲は \(\class{mathkuu}{\underline{-2<x\leqq 0,\ 2\leqq x<3}}\)
(i) \((x-3)(x+2)<0\) より \(\class{mathkuu}{\underline{-2<x<3}}\)
(ii) \(x(x-2)\geqq 0\) より \(x\leqq 0,\ 2\leqq x\)
共通範囲は \(\class{mathkuu}{\underline{-2<x\leqq 0,\ 2\leqq x<3}}\)
Point 1A 3.6.7 つねに成り立つときたら・・・
「すべての実数 \(x\) で成り立つ」ときたら\(\cdots\) → グラフが \(x\)軸と交わらないように条件を書け!
- つねに \(ax^2+bx+c>0\) \(\iff\) \(\class{mathkuu}{\underline{a>0}}\) かつ \(\class{mathkuu}{\underline{D<0}}\)
- つねに \(ax^2+bx+c<0\) \(\iff\) \(\class{mathkuu}{\underline{a<0}}\) かつ \(D<0\)
その他方針立ての重要ポイント
Point 1A 3.7.1
絶対値(\(y=|f(x)|\))のグラフときたら\(\cdots\) \(y=f(x)\) のグラフの \(y\class{mathkuu}{\underline{<}}0\) の部分(\(x\)軸より下)を,\(x\)軸に関して折り返す
Point 1A 3.7.2 方程式の実数解とグラフ〜定数分離・直線分離〜
定数分離は,方程式の解の個数(配置問題とも。詳しくはPoint3.8.1以降で扱う)を考えるうえでの頻出手法! 方程式の実数解は,\(y=\)(左辺)と\(y=\)(右辺)のグラフの共有点の\(x\)座標として読みかえられる。
- \(f(x)=0\) の実数解 \(\iff\) 曲線 \(y=f(x)\) と直線 \(y=0\)(\(x\)軸)の共有点の\(x\)座標
- \(f(x)=k\) の実数解 \(\iff\) 曲線 \(y=f(x)\) と直線 \(y=k\)の共有点の\(x\)座標 (定数分離)
- \(f(x)=ax\) の実数解 \(\iff\) 曲線 \(y=f(x)\) と直線 \(y=ax\)の共有点の\(x\)座標 (直線分離)
比べやすいグラフで比べよう!
- ① 一方の曲線は固定したまま,もう一方の直線を動かして交点の変化を追う
→ 定数分離/直線分離 - ② \(\sin\)と\(\log\)など,異なる関数を左辺と右辺に分ける
(\(\sin\)・\(\log\) は数学IIで学ぶ。いまは \(y=k\) の定数分離だけおさえればよい)
Point 1A 3.7.3 【重要】記述でよくある間違い
「判別式」は,2次「方程式」に対する言葉であり,2次「関数」の「判別式」のような言い方はしない。下のような記述をしないよう気をつけよう。他も含めて,よくある間違いを下に記載するので,よく読んでおこう。
× 2次関数\(y=ax^2+bx+c\)の解が・・・
←\(y=ax^2+bx+c\)は\(x\)についての2次「関数」。「解」というのは,「方程式」を満たす変数\((xなど)\)の値であり,「方程式」のワード。\(x,y\)についての方程式と見て,放物線の方程式とも言うが,この手のミスはおそらくその話をしたくて,ではない。 × 2次関数\(y=ax^2+bx+c\)の判別式Dが・・・
←「関数」の判別式,ではない。\((2次関数)=0\)などの「方程式の解」を「判別」するのが判別式。 × 2次方程式\(y=ax^2+bx+c\)の判別式Dが・・・←\(y=ax^2+bx+c\)は2次「関数」。 × 放物線\(ax^2+bx+c=0\)の頂点は・・・←\(ax^2+bx+c=0\)は2次方程式であり,頂点などの話ではない。\(y=(左辺)\)のグラフが,放物線である。
←\(y=ax^2+bx+c\)は\(x\)についての2次「関数」。「解」というのは,「方程式」を満たす変数\((xなど)\)の値であり,「方程式」のワード。\(x,y\)についての方程式と見て,放物線の方程式とも言うが,この手のミスはおそらくその話をしたくて,ではない。 × 2次関数\(y=ax^2+bx+c\)の判別式Dが・・・
←「関数」の判別式,ではない。\((2次関数)=0\)などの「方程式の解」を「判別」するのが判別式。 × 2次方程式\(y=ax^2+bx+c\)の判別式Dが・・・←\(y=ax^2+bx+c\)は2次「関数」。 × 放物線\(ax^2+bx+c=0\)の頂点は・・・←\(ax^2+bx+c=0\)は2次方程式であり,頂点などの話ではない。\(y=(左辺)\)のグラフが,放物線である。
Point 1A 3.7.4 【コラム】放物線が \(x\) 軸から切り取る線分の長さ
\(D = b^2 - 4ac > 0\) のとき,放物線 \(y = ax^2 + bx + c\) が \(x\) 軸から切り取る線分の長さを \(l\) とする。
2次方程式 \(ax^2 + bx + c = 0\) の2解\(\dfrac{-b - \sqrt{D}}{2a},\ \dfrac{-b + \sqrt{D}}{2a}\)をそれぞれ \(\alpha,\ \beta\) とすると,
※ 分母の符号で大小が入れかわるので,\(a>0\) なら \(\alpha\class{mathkuu}{\underline{<}}\beta\),\(a<0\) なら \(\alpha\class{mathkuu}{\underline{>}}\beta\) である。
2次方程式 \(ax^2 + bx + c = 0\) の2解\(\dfrac{-b - \sqrt{D}}{2a},\ \dfrac{-b + \sqrt{D}}{2a}\)をそれぞれ \(\alpha,\ \beta\) とすると,
※ 分母の符号で大小が入れかわるので,\(a>0\) なら \(\alpha\class{mathkuu}{\underline{<}}\beta\),\(a<0\) なら \(\alpha\class{mathkuu}{\underline{>}}\beta\) である。
i) \(a > 0\) のとき, \[l = \class{mathkuu}{\underline{\beta}} - \class{mathkuu}{\underline{\alpha}} = \dfrac{-b + \sqrt{D}}{2a} - \dfrac{-b - \sqrt{D}}{2a} = \dfrac{\sqrt{D}}{a}\] ii) \(a < 0\) のとき, \[l = \class{mathkuu}{\underline{\alpha}}-\class{mathkuu}{\underline{\beta}} = \dfrac{-b - \sqrt{D}}{2a} - \dfrac{-b + \sqrt{D}}{2a} = -\dfrac{\sqrt{D}}{a}\] したがって,一般に
\[
l = \class{mathkuu}{\underline{\left|\alpha - \beta\right|}}=\dfrac{\sqrt{D}}{|a|}
\] 特に,\(|a| = 1\) のときは \(l = \sqrt{D}\) となる。
(結果は覚えなくてよい)
(結果は覚えなくてよい)
解の配置問題(概要)
この節では,入試数学における方程式のド定番問題である,解の個数問題(解の配置問題ともいう)の原則だけを扱う。詳しい類型と必要十分条件のトレーニングは,分野をまたいで使う内容なのでEX「方程式」の解の配置にまとめてある。 いま扱っているのは,関数の\(3\)大テーマ①グラフ,②方程式・不等式,③最大・最小のうち,②の方程式であることを意識しておこう。Point 1A 3.8.1 解の個数問題ときたら・・・
→ グラフを描いて,判別式・軸の位置・端点の符号の\(3\)つで表現せよ! この\(3\)つは同時に成り立つべき条件である。どれか\(1\)つでも落とすと答えが変わり,逆に余分な条件を足しても間違いになる。必要十分になっているかを必ず確かめること。
【例】\(2\)次方程式 \(x^2-2ax+a+6=0\) の\(2\)解がともに正となる定数 \(a\) の範囲を求めよ。
\(f(x)=x^2-2ax+a+6\) とおくと \(f(x)=(x-a)^2-a^2+a+6\) より 軸は 直線 \(x=a\)。
※ まずは因数分解できないかを確認すること。定数を含んでいると気づきにくいが,\(1\)解が確定すれば一気に簡単になる。 例:\(x^2+(a+1)x+a=0 \iff (\class{mathkuu}{\underline{x+a}})(x+1)=0\) なら,解は \(-a\) と \(-1\) と分かってしまう。 \(f(x)=x^2-2ax+a+6\) とおくと \(f(x)=(x-a)^2-a^2+a+6\) より 軸は 直線 \(x=a\)。
- (i) 異なる\(2\)つの実数解をもつ \(\cdots\) \(\dfrac{D}{4}=a^2-a-6\class{mathkuu}{\underline{>}}0\) より \(a<-2,\ 3<a\)
- (ii) 軸が \(y\)軸より右にある \(\cdots\) 軸 \(=\class{mathkuu}{\underline{a}}>0\)
- (iii) \(x=0\) での値が正 \(\cdots\) \(f(0)=\class{mathkuu}{\underline{a+6}}>0\) より \(a>-6\)
Point 1A 3.8.2 注意
「方程式\(ax^2+bx+c=0\) が〜」という問題文のとき,焦っていきなり判別式・軸・端点に入らないように! 「判別式」は\(2\)次方程式に対する言葉であるから,\(\class{mathkuu}{\underline{a=0}}\) かどうかで場合分けが必要。上に凸か下に凸かも必要であれば,\(a>0,\ a<0\) でも場合分けする。 ※ 端点だけで済む型もある。「\(\class{mathkuu}{\underline{f(p)f(q)}}<0\)(つまり \(f(p)\) と \(f(q)\) が異符号)なら \(x=p\) と \(x=q\) の間に解あり!」 ※ 詳しくは数学IIIで習う。中間値の定理という。
この章の振り返り
いかがでしたでしょうか。2次関数は、グラフという目に見える道具を初めて本格的に使う章でした。式のままでは見えない情報が、放物線の形と位置に置き換えると一目で分かる。この翻訳ができるかどうかが、この章の中心です。その意味で、平方完成は計算作業ではなく頂点という一点に情報を集める操作でした。頂点が決まれば最大最小が決まり、軸が決まれば区間との位置関係が決まり、判別式が決まれば\(x\)軸との交わり方が決まる。逆に言えば、問題文が与えている条件がこの3つのどれに対応するのかを見分けることが、方針を立てるということです。
移動のまとめでも触れたとおり、平行移動と対称移動は符号の扱いを取り違えやすい箇所です。ここは覚え方を工夫するより、移動後のグラフ上の点がどこから来たのかを一度たどっておくのが確実です。定数分離も同じで、文字を左右どちらに寄せるかで見る図が変わります。動かない曲線と動く直線に分けられたときが最も扱いやすい、という判断ができれば十分です。
最大・最小と不等式は、いずれもグラフのどこを見ているかがはっきりすれば同じ話に見えてきます。最大最小では軸と定義域の位置関係を見ており、不等式では\(x\)軸より上か下かを見ている。どちらも、式のままでは判断できないことをグラフに置き換えて読み取っているだけです。
章の最後に置いた解の配置問題は、この章でいちばん実戦的なところでした。解の個数という条件を、判別式・軸の位置・端点の符号という同時に成り立つべき複数の条件へ翻訳し、しかも足りない条件も余分な条件もない形にまとめる。必要十分の意識が甘いと、答えは出るのに減点されるという結果になります。この考え方は2次関数に限らず、三角関数でも指数対数でも同じように使うので、詳しい類型はEXの「方程式」にまとめました。ひととおり解けるようになった段階で、そちらを通してやり直す価値があります。