第24章 楽器のメンテナンス
★ ?
第24章

楽器のメンテナンス

この章の目標

  • 弾いたあとの手入れと,弦の交換が自分でできる
  • 自分の楽器の塗装と指板に合った手入れ用品を選べる
  • ネックの反りやオクターブのずれに気づき,楽器店に相談すべきか判断できる
24.1

弾いたあとの手入れ

弦や金属パーツは,手の汗や皮脂で錆びていきます。錆びた弦は音がこもり,チューニングも合いにくくなります。「下手だから合わない」と思っていたら,実は弦が古かっただけ,ということもよくあります。

  • 弾き終わったら,乾いたクロスで弦の上と裏,指板,ボディをふく。弦は1本ずつクロスではさんで,ネックに沿って動かす。
  • 手を洗ってから弾く。これだけで弦の寿命がかなり変わる。
  • ケースにしまう前に,汗が残っていないか確かめる。
24.2

弦の交換

交換の目安は1〜3か月です。音がこもってきた,弦の色が変わった,ざらざらする,チューニングが合いにくい,と感じたら交換します。本番の数日前に張りかえておくと,弦がなじんで安定します。

手順ギターベース
1古い弦をゆるめて外す。指板を掃除するなら全部外してよい(下の「注意どころ」も読む)同じ
2ブリッジ側から新しい弦を通す同じ。弦が太いので,ペグに入る長さを先に決めて,切る前に直角に曲げておく
3ペグの穴に通し,次のペグの位置くらいまで余らせて巻き始めるペグの柱に1〜3周巻ける長さで切る
4巻き数の目安:巻弦(4〜6弦)は2〜3周,プレーン弦(1〜3弦)は3〜4周。巻いた弦が下へ重なるように巻いた弦が下へ重なるように巻く
5弦を軽く引っぱって伸ばし,チューニングし直す。これを数回くり返す同じ
6余った弦をペグのそばで切る(目に刺さらないよう先を曲げてもよい)同じ
24.3

弦を外したときの手入れ

指板 ローズウッドやエボニーなど,塗装されていない指板(茶色や黒で,木目が見える)は乾燥します。汚れをクロスで落としたあと,オレンジオイルなどの指板用オイルを少量だけクロスに付けてのばし,すぐにふき取ります。使うのは弦交換のときに年数回くらいで十分です。塗りすぎると木がふくらんだり,フレットがゆるんだりする原因になります。メイプル指板(白っぽく,つやのある塗装がされたもの)にはオイルを使わず,ボディと同じ手入れをします。

フレット フレットがくもると,チョーキングやスライドで指がひっかかります。指板をマスキングテープで保護し,フレット用の研磨クロスやポリッシュで1本ずつ磨きます。最後にテープをはがして,粉をふき取ります。

金属パーツ ブリッジ,ペグ,ピックアップのカバーなどは,金属用のクリーナーや防錆剤(保護剤)で手入れします。スプレーは楽器に直接かけず,クロスに吹き付けてからふきます。ピックアップの中に入ると故障の原因になります。

ボディ 楽器用のポリッシュ(つや出し・汚れ落とし)やクリーナーを使います。これもクロスに少量付けてからふき,最後に乾いたクロスで仕上げます。

24.4

塗装による注意(ラッカー塗装)

ギター・ベースの塗装は大きく2種類あります。多くの楽器は丈夫なポリ塗装(ポリウレタン・ポリエステル)ですが,ヴィンテージ風の楽器や高めの価格帯の楽器には,薄くてやわらかいラッカー塗装が使われていることがあります。どちらか分からないときは,メーカーの仕様を調べるか,楽器店で聞きましょう。

気をつけること理由と対策
ゴム・ビニールとの接触スタンドやハンガーのゴム,ゴム製のストラップエンドに長く触れていると,塗装がとけたり変色したりする(ゴム焼け)。ラッカー対応のスタンドを使うか,間に布をはさむ
手入れ用品溶剤やシリコンを含むポリッシュで,塗装がくもったりとけたりすることがある。「ラッカー塗装対応」と書かれたものを使う
急な温度変化寒い屋外から暖かい部屋へすぐ出すと,塗装に細かいひび(ウェザーチェック)が入りやすい。ケースのまましばらく置いて,部屋の温度になじませてから開ける
24.5

ネックの反りと弦高

季節や湿度で,ネックは少しずつ反ります。反ると弦高が変わって弾きにくくなったり,音がビリついたりします。

  • 見方:6弦(ベースは4弦)の1フレットと最終フレットを同時に押さえ,真ん中(7〜9フレットあたり)で弦とフレットのすき間を見る。
  • 順反り:すき間が大きい。弦高が高くなり,押さえにくい。
  • 逆反り:すき間がまったくない。音がビリついたり,音が出ないフレットがあったりする。
  • 反りはネックの中のトラスロッドで調整しますが,回しすぎると楽器をこわします。慣れるまでは楽器店に相談しましょう。
24.6

オクターブ調整

開放弦は合っているのに,ハイフレットで弾くとずれる。そんなときはオクターブ(弦の長さ)がずれています。

  1. 開放弦をチューニングする。
  2. 12フレットのハーモニクスと,12フレットを押さえた音をチューナーで比べる。
  3. 押さえた音のほうが高いときは,ブリッジのサドルをボディのお尻の方向へ下げる(弦を長くする)。低いときは,ネック側へ動かす。
  4. 動かしたら開放弦を合わせ直し,同じ音になるまでくり返す。

弦を交換したときやゲージを変えたときに確かめるとよいでしょう。

24.7

保管と,困ったときの切り分け

  • 直射日光,夏の車内,エアコンの風が直接当たる場所に置かない。湿度は40〜60%くらいが目安。
  • 長く弾かないときはケースに入れ,調湿剤を入れておく。
  • アクティブのベースやエフェクターの電池は,プラグを差したままだと減っていく。使い終わったら抜く。

音が出ないときは,近いところから順に確かめます。

ギター本体のボリューム → シールドを別のものに替える → エフェクターを通さずにアンプへ直接つなぐ → アンプの電源・ボリューム・入力端子。1つずつ替えれば,どこが原因かを短い時間で見つけられます。

問1 次のうち,ラッカー塗装の楽器で避けたほうがよいものをすべて選びなさい。

  • ゴムの付いたスタンドに何日も立てかけておく
  • 弾いたあとに乾いたクロスでふく
  • 冬の寒い日に,外から運んできてすぐケースを開ける
  • シリコン入りのポリッシュでボディをみがく

答え:

この章のまとめ

  • 弾いたあとは弦・指板・ボディをふく。弦は1〜3か月を目安に交換。
  • オレンジオイルは塗装していない指板に少量だけ。フレット磨きは指板をテープで保護して。
  • ラッカー塗装は,ゴム・溶剤・急な温度変化に弱い。
  • ネックの反りは見て確かめ,調整は楽器店に相談。オクターブは12フレットで確かめる。
← 講座のトップへ