第23章 試奏フレーズ集
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第23章

試奏フレーズ集

この章の目標

  • 楽器店やスタジオで「何を弾こう」と迷わない,自分の持ちネタを作る
  • クリーンのコード,アルペジオ,歪ませたソロの3種類を弾き分けられる
  • E マイナーペンタトニックを,開放弦からハイフレットまでつなげて使える
23.1

試奏で確かめること

楽器やアンプ,エフェクターを試すときは,音色ごとに弾くものを決めておくと,ちがいを聞き比べやすくなります。

音色弾くもの聞くところ
クリーンコードのバッキング(A),アルペジオ(B),カッティング(E,F)和音の1音1音が聞き分けられるか。高い音のきらびやかさ
クランチA と B を,弾く強さを変えて弱く弾いたときと強く弾いたときの差
ディストーションペンタトニックのソロ(C),タッピング(G)音の伸び。低い弦がにごらないか。チョーキングの歌い方

A〜C の TAB 譜にはリズムを書いていません(E〜G はリズム譜つき)。それぞれの説明にあるリズムを目安に,自分の弾きやすい形にくずしてかまいません。この章の図では,9度を「2」,13度を「6」,♯9 を「♭3」と表示しています。

23.2

A.おしゃれなコード進行のバッキング

第16章の省略形と,9度を足した形を使ったループです。4つのコードをくり返すだけで,それらしく聞こえます。クリーンか軽いクランチで,ピックアップはセンターかミックスがおすすめです。

A-1 丸サ進行(キー C) IV△7 → III7 → VIm7 → Vm7・I7(第6章)

F△7(9)
E7(♯9)
Am7
Gm7
C7(9)
A-1 丸サ進行
1小節1回

F△7(9) から E7(♯9) へは,4本の指のうち3本が1フレット下がるだけです。E7(♯9) は,にごりを生かした渋い響きのコードです(第7章)。

A-2 ツーファイブワン(キー C) IIm9 → V13 → I△9 → VI13

Dm7(9)
G7(13)
C△7(9)
A7(13)
A-2 ツーファイブワン
1小節1回

最後の A7(13) は,頭の Dm に戻るためのセカンダリードミナントです(第6章)。G7(13) と A7(13) は同じ形を2フレットずらしただけです。

A-3 高い音でカッティング(キー A) I△9 → VIm9 → IIm9 → V9。4弦ルートの形が中心

A△7(9)
F♯m7(9)
Bm7(9)
E7(9)
A-3 高い音でカッティング
1小節1回

リズムの例 どの進行も,まずは1小節に1回,ジャーンと伸ばして響きを確かめます。なれたら,16分音符のカッティングにします。右手はずっと16分で振り続け,色の付いたところだけ左手で押さえて鳴らし,ほかは左手をゆるめてブラッシングにします(第20章)。

23.3

B.アルペジオ

クリーンで,1音1音が重なって響くように弾きます。押さえた指は,次のコードに変わるまで離しません。

B-1 高い2本を押さえたままのアルペジオ(キー G) G → Cadd9 → Em7 → Dsus4。8分音符で

1弦と2弦の3フレットを,薬指と小指で最後まで押さえ続けます(ペダルトーン。第15章)。

B-1 高い2本を押さえたまま

B-2 4和音のアルペジオで丸サ進行(キー C) F△7 → E7 → Am7 → C7。8分音符で

第20章の基礎練の形(R → 3 → 5 → 7)を,上って下りるだけです。基礎練がそのままフレーズになります。

B-2 丸サ進行アルペジオ

B-3 9度を入れた,きらきらしたアルペジオ(キー C) C△7(9) → Am7(9) → Dm7(9) → G7(13)。8分音符で

A-2 のコードの形を押さえたまま,低い弦から1本ずつ弾いて戻ります。

B-3 9度入りアルペジオ
23.4

C.E マイナーペンタトニック一発のソロ

C つなげたソロ

バックのコードを Em(または E のパワーコード)1つだけにして,E マイナーペンタトニックで弾き続けるのが「ペンタ一発」です。コードが変わらないので,どの音で終わっても大きく外れません。歪ませて,思いきり弾きましょう。

E マイナーペンタトニック(E・G・A・B・D)は,開放弦が5本とも使えるので,ギターで一番弾きやすいキーです。

このうち,よく使う場所は次の3つです。

開放弦のポジション
低くて太い
12フレットのポジション
開放の1オクターブ上
斜めにつなぐ形
低い弦から高い弦へ,右上に進む

C-1 開放弦から駆け上がる 16分音符で。最後はチョーキングで E まで上げて伸ばす

C-1

C-2 12フレットの定番 8分音符で。チョーキングで始めて,ルートに着地する

C-2

C-3 プリングで一気に下りる 16分音符で。各弦の1音目だけを弾き,2音目はプリングで出す

C-3

C-4 斜めに上がって,てっぺんでチョーキング 16分音符で。最後は 1弦17フレットを全音上げて,2弦17フレットの E に下りる

C-4

C-5 開放弦を使った低音リフ 8分音符で。5弦1フレットはブルーノート(♭5)

C-5

C-6 オクターブ奏法でメロディ 8分音符で(第14章)

C-6

C-7 ユニゾンチョーキングでしめる 1つずつ長く伸ばす(第19章)

C-7
23.5

D.コード進行の早見表

コード進行は度数で覚えておくと,その場でキーを決めてすぐに弾けます(第5章・第6章)。試奏では,下の進行から1つ選び,弾きやすいキーで A や B の形に当てはめます。

呼び名度数ふんいき
イチロクニーゴーI△7 → VIm7 → IIm7 → V7明るく,ずっと回せる
ツーファイブワンIIm7 → V7 → I△7 → VI7大人っぽい。VI7 で頭に戻る
丸サ進行IV△7 → III7 → VIm7 → Vm7・I7おしゃれで少し切ない
王道進行IV△7 → V7 → IIIm7 → VIm7J-POP のサビ
小室進行VIm → IV → V → I力強い。歪ませても合う
I → V → VIm → IVI → V → VIm → IVまっすぐで明るい
カノン進行I → V → VIm → IIIm → IV → I → IV → V安心感。アルペジオ向き
ロックの3コードI → ♭VII → IV渋い。パワーコードで

キーごとのコード 度数をコードネームに直す表です。III7 と VI7 は,丸サ進行やツーファイブワンで使うセカンダリードミナントです。

キーI△7IIm7IIIm7IV△7V7VIm7VIIm7♭5III7VI7
CC△7Dm7Em7F△7G7Am7Bm7♭5E7A7
GG△7Am7Bm7C△7D7Em7F♯m7♭5B7E7
DD△7Em7F♯m7G△7A7Bm7C♯m7♭5F♯7B7
AA△7Bm7C♯m7D△7E7F♯m7G♯m7♭5C♯7F♯7
EE△7F♯m7G♯m7A△7B7C♯m7D♯m7♭5G♯7C♯7
FF△7Gm7Am7B♭△7C7Dm7Em7♭5A7D7
B♭B♭△7Cm7Dm7E♭△7F7Gm7Am7♭5D7G7
E♭E♭△7Fm7Gm7A♭△7B♭7Cm7Dm7♭5G7C7

表を見なくても弾ける方法 指板の上では,度数ごとのルートの場所が決まった形に並んでいます。下の図は,I を6弦に置いたときの,7つのコードのルートの場所です(図はキー G。R が I,数字が II〜VII)。

  • 6弦に I・II・III が2フレットおきに並ぶ。5弦の同じフレットから IV・V・VI が並び,その2フレット右が VII。
  • I と IV は △7,V は 7,II・III・VI は m7,VII は m7♭5(第5章の並び)。
  • この形をまるごと左右にずらせば,どのキーにもなる。6弦5フレットから始めればキー A,8フレットならキー C。

イチロクニーゴーなら「R → 6 → 2 → 5」の場所を順に押さえるだけです。A の形や B のアルペジオを,この場所に当てはめて弾きます。

自分の試奏フレーズを書く欄

(冊子ではここに自分のフレーズを書きこみます)

(冊子ではここに自分のフレーズを書きこみます)
23.6

E.単音カッティング

1本の弦の音と,ミュートした「チャッ」(×)を16分でつなげる弾き方です。ファンクやおしゃれなポップスでよく使われます。左手は,鳴らす音を押さえたあと力をゆるめて ×(ブラッシング)にします。右手は16分で振り続けます(第20章 練習⑥⑦)。クリーンかクランチで弾きます。

E-1 5〜3弦で A マイナーペンタ(Am7 一発)

E-1 単音カッティング

E-2 高い弦で E マイナーペンタ(Em9 一発)

E-2 単音カッティング
23.7

F.テンポの速いカッティング

テンポの速いロックで,4和音を16分で刻む弾き方です。『夜咄ディセイブ』のような速いボカロ曲などでよく聞く弾き方で,ここではそれに近い雰囲気の練習用フレーズを作りました。コードは王道進行(IV△7 → V → IIIm7 → VIm7,キー C)を,4弦ルートの形で弾きます(第16章)。

F△7
G
Em7
Am7

F-1 16分のカッティング テンポ 100 くらいから始めて,少しずつ上げる

見本
  • 16分音符3つおきに鳴らしているので,4拍子の上で3つ割りのリズムが走るように聞こえます。
  • 休符のところは,左手の力をゆるめて音を切ります。右手は止めません。
  • 速くなるほど,腕を大きく振るより,ひじから先を小さく速く振るほうが続けやすくなります。
  • 4小節目の終わりは,全員でそろえて止める「キメ」の形です。
23.8

G.タッピングのおしゃれなフレーズ

右手の指で弦をたたいて押さえるタッピング(T)と,左手のプリング(P)・ハンマリング(H)を組み合わせ,2弦1本だけで弾きます。左手は 8フレット(人さし指)と12フレット(小指)を押さえたままにし,右手でたたく場所だけを変えます。歪ませても,クリーンにコーラスをかけてもきれいに響きます。TAB 譜は1〜3弦の3本だけを書いています。

見本
  • 鳴っている3音は,Em では E・G・B,C△7 では C・G・B,G では D・G・B です。左手の G と B は変わらず,たたく音だけでコードが変わります。
  • タップした指は,はなすときに少し下へ引っかけるようにすると,左手の 8フレットの音がはっきり鳴ります(右手のプリング)。
  • 使わない弦は,左手の余った指や右手の手のひらでふれてミュートしておきます。
  • なれたら,たたく場所を変えて自分のコード進行を作ってみましょう。
23.9

H.ダブルストップを使ったブルースのソロ

キー A の16小節のブルースです。A マイナーペンタトニックのポジション1(5フレット)を中心に,チョーキング,ハンマリング,プリング,スライド,そしてダブルストップ(第19章)を混ぜています。コードは A7・D7・E7 の3つで,セブンスコードの上にマイナーペンタを乗せるブルースらしい響きになります。

記号:full は全音,½ は半音のチョーキング,rel はチョーキングした音をもとの高さへ戻す,H はハンマリング,P はプリング,S はスライド,× はミュートした音。

  • 1〜4小節:3弦7フレット(D)を全音上げて E にし,戻してから 5フレットへプリング。3弦5フレット(C)を半音上げると C♯ になり,A7 の3度に近づく。3弦5→6フレットのハンマリングも,C から C♯(短3度から長3度)へ動くブルースの定番。
  • 5〜6小節(D7):1弦の高い音と,ミュートした3弦(×)を交互に弾いてリズムを出す。6小節目は1弦と3弦の6度のダブルストップを5→7フレットとスライドさせる。
  • 9〜10小節:1弦と3弦の6度のダブルストップで,E7・D7 のコードの音を拾いながら上がっていく。第19章の「6度で平行移動」の形そのまま。
  • 12小節(E7):2弦と4弦の6度のダブルストップを 9→7→5 と下ろす。
  • 13〜16小節:チョーキングとプリングで締めて,最後は4弦・5弦の低い音へ降りて終わる。

この章のまとめ

  • 試奏は,クリーンでコードとアルペジオ,歪ませてソロ,と音色ごとに弾くものを決めておく。
  • 省略形と9度の形を4つ並べるだけで,おしゃれなループになる。
  • 進行は度数で覚える。ルートの場所の形をずらせば,どのキーでも弾ける。
  • 基礎練のアルペジオは,そのままフレーズとして使える。
  • E マイナーペンタトニックは開放弦が全部使える。低い場所から高い場所へつなぐ。
  • カッティングは,右手を16分で振り続け,左手の力加減で鳴らす音とブラッシングを分ける。
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