音作りと機材
この章の目標
- クリーン・クランチ・ディストーションのちがいを,耳と言葉で区別できる
- アンプのつまみを,ねらいを持って動かせる
- ギター本体のつまみとピックアップの切りかえで,音を変えられる
- エフェクターをつなぐ順番の理由を説明できる
歪みの3段階
エレキギターの音色は,どれくらい歪(ひず)ませるかで大きく3つに分けられます。
| 音色 | どんな音か | 合う弾き方 |
|---|---|---|
| クリーン | 歪みのない,ギターそのままのきれいな音 | アルペジオ,静かなバッキング |
| クランチ | 軽く歪んだ音。弱く弾くとクリーン寄り,強く弾くと歪みが増える | カッティング,アルペジオ,バッキング |
| ディストーション | 強く歪んだ,太くて伸びる音 | パワーコード,オクターブ奏法,ソロ |
クランチは,弾く強さで音が変わるので,強弱の付け方がそのまま表現になります。歪みを強くするほど迫力は出ますが,コードの細かい響きは聞き取りにくくなります(第14章のパワーコード)。
アンプで音を作る
イコライザー(EQ) BASS(低音),MIDDLE(中音),TREBLE(高音)の3つのつまみです。まず3つとも真ん中(12時の位置)にします。真ん中が「何も足し引きしていない音」とは限らず,効き方はアンプごとにちがいますが,出発点としては分かりやすい位置です。PRESENCE というつまみがあるアンプでは,それは TREBLE よりさらに高い音の調整です。
最初に考えるのは,自分のパートは目立つべきか,支えるべきかです。そのうえで,足りないところだけを動かします。
| こう聞こえる | 動かすつまみ | やりすぎると |
|---|---|---|
| こもっている。モコモコする | BASS を下げる。足りなければ TREBLE を少し上げる | 迫力がなくなる |
| 角を取りたい。やわらかくしたい | TREBLE を下げる | こもる |
| キンキンして耳にささる | TREBLE(あれば PRESENCE も)を下げる | こもる |
| もっとジャキジャキさせたい | TREBLE を上げる | 耳にささる |
| 前に出てこない。うもれる | MIDDLE を上げる(音が太く,前に出る) | 鼻がつまったような音になる。ほかのパートとぶつかる |
| 音が細い。迫力がほしい | BASS を少し上げる | モコモコして,ベースとぶつかる |
低音と高音を上げて中音を大きく下げた音を「ドンシャリ」,中音が多い音を「かまぼこ」と呼びます。良い悪いではなく好みと役割の問題です。
歪みを作る EQ を整えたら,歪みを作ります。アンプにクリーンとドライブの2つのチャンネルがある場合は,ドライブのほうに切りかえて GAIN を上げます。
- GAIN を上げると歪みが増えるが,音量も一緒に上がる。VOLUME や MASTER を下げて音量をそろえる。
- クリーンチャンネルは歪みにくく作られている。GAIN を上げても,主に音が大きくなる(アンプによっては少し歪む)。
- 一度 GAIN を最大にしてみて,そこから下げながら「ちょうどいい歪み」を探すと,幅がつかめる。
ギター本体のつまみとスイッチ
ボリューム 基本は最大です。慣れてきたら,ふだんは8〜9割にして歪みと音量をおさえ,ソロのときだけ最大にする使い方もできます。
トーン 音の明るさです。下げるほど高い音がけずられて,こもった音になります(低い音が増えるわけではありません)。アンプやエフェクターにも動かすつまみがたくさんあるので,まずは最大に固定しておくと迷いません。
ピックアップセレクター 弦の振動を拾う部品(ピックアップ)のうち,どれを使うかを選ぶスイッチです。
| 位置 | 音の特徴 |
|---|---|
| フロント(ネック側) | 角の取れた丸い音。あまいソロやクリーンのアルペジオに |
| リア(ブリッジ側) | 明るく力強い音。歪ませたパワーコードやオクターブ奏法と相性がよい |
| センター,ミックス(2つを混ぜた位置) | 歯切れのよいジャキジャキした音。カッティングやバッキングに。最近の曲に多い |
- テレキャスタータイプ:3段階(フロント,ミックス,リア)。
- ストラトキャスタータイプ:5段階(フロント,フロント+センター,センター,センター+リア,リア)。
- レスポールタイプ:3段階(スイッチの上がフロント,下がリア,真ん中がミックス)。
ピックアップ自体にも2種類あります。細長いシングルコイルは繊細で歯切れのよい音,四角いハムバッカーは太く力強い音です。
好きな曲を聞くときに「これはどのピックアップの音だろう」と想像する習慣を付けると,コピーするときの音作りが早くなります。
エフェクター
エフェクターは,ギターとアンプの間につないで音を加工する機械です。
| 種類 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| マルチエフェクター | 1台にたくさんの効果が入っている。アンプの音をまねる機能や,録音の機能を持つものも多い | まず一通り試したい人。荷物を少なくしたい人 |
| コンパクトエフェクター | 1台に1つの効果。つまみが少なく,足元で直感的に使える | 使う音が決まっている人。少しずつ集めたい人 |
コンパクトで最初にそろえるなら,歪み系(オーバードライブかディストーション)を1つ,次に空間系のディレイを1つです。この2つがあれば,多くの曲に対応できます。音が長く伸びるのは歪みの働きで,そこにディレイで余韻を足すと,広がりが出てソロが歌うように聞こえます。お風呂で歌うと上手に聞こえるのと同じしくみです。
アンプをクリーンにしてエフェクターだけで歪みを作る方法と,アンプの歪みにエフェクターを足す方法があります。どちらも使われています。
弾きやすくする工夫
- ストラップロック:立って弾くときにストラップが外れてギターを落とすのを防ぐ部品。安く買える。
- コーティング弦:さびにくい加工をした弦。値段は高めだが長持ちするので,弦交換の回数を減らせる。
- 弦高を下げる:弦と指板の間を少しせまくすると,押さえる力が小さくて済み,とても弾きやすくなる。 目安は「アンプにつながずに弾くと少しビリつくが,アンプにつなぐと気にならない」くらい。 下げすぎると,ビリつきが増えて音がつまりやすくなる。ブラッシングのつもりが音程が出てしまうこともある。自分で調整するのが不安なら,楽器店にたのむ。
この章のまとめ
- 歪みは,クリーン → クランチ → ディストーションの順に強くなる。
- EQ は真ん中から始め,足りないところだけ動かす。役割(目立つか,支えるか)で決める。
- GAIN を上げると音量も上がる。VOLUME でそろえる。
- フロントは丸い音,リアは明るく力強い音。
- エフェクターは,歪み系 → 空間系の順につなぐ。