第10章 耳コピ
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第10章
耳コピ
この章の目標
- 曲を聞いてキーを見つけられる
- ベースの音からコード進行を推理できる
- メロディを鍵盤で探して弾ける
10.1
耳コピの手順
聞いた曲を楽譜なしで弾けるようにすることを「耳コピ」といいます。やみくもに音を探すのではなく,これまでの理論を使って候補をしぼるのがコツです。
キーが分かれば,使われる音は7つ,コードも7つが中心になります。12個の音から探すのに比べて,ずっと楽になります。
準備 鍵盤アプリを手元に置きます。再生速度を落とせるアプリや,短い区間をくり返す機能があると便利です。一度に取るのは1〜2小節ずつにします。
10.2
① キーを見つける
- 落ち着く音を探す:曲を流しながら鍵盤を1音ずつ弾き,「ここで終われる」と感じる音を探す。サビの最後の音や,曲の最後の音がその音であることが多い。
- 最後にジャーンと鳴らす:曲の終わりに合わせてコードを鳴らし,「これで終われる」としっくりくるコードを探す。それが I のコードで,曲のキー。ライブで最後に全員でかき鳴らすのも,たいていこのコード。
- 合う音を集める:曲に合わせて12個の音を順に鳴らし,にごらない音を集める。7つ集まったら,どのメジャースケールかを調べる(第1章の表)。
- メジャーかマイナーか:同じ7音でも,明るく落ち着くならメジャーキー,暗く落ち着くなら平行調のマイナーキー。
楽譜があるときは,最初に書いてある ♯ や ♭ の数(調号)からキーが分かります。
| ♯ の数 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| メジャーキー | C | G | D | A | E | B | F♯ | C♯ |
| マイナーキー | Am | Em | Bm | F♯m | C♯m | G♯m | D♯m | A♯m |
| ♭ の数 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
| メジャーキー | C | F | B♭ | E♭ | A♭ | D♭ | G♭ | C♭ |
| マイナーキー | Am | Dm | Gm | Cm | Fm | B♭m | E♭m | A♭m |
問1 曲に合う音を集めたら,次の7つでした。キーを答えなさい(メジャーキーと,平行調のマイナーキー)。
- (1)G・A・B・C・D・E・F♯
- (2)F・G・A・B♭・C・D・E
- (3)D・E・F♯・G・A・B・C♯
- (4)E♭・F・G・A♭・B♭・C・D
- (5)A・B・C♯・D・E・F♯・G♯
10.3
② ベースの音を取る
コードのルートは,たいていベースが弾いています。そこで,まず低い音だけに集中して聞きます。
- コードが変わるのは小節の頭が多い。小節の頭で鳴っている一番低い音を探す。
- 聞いた音を一度声に出して歌い,その高さを鍵盤で探すと見つけやすい。
- 候補は,まずスケールの7つの音。
- ベースが聞き取りにくいときは,音楽アプリのイコライザーで低音を上げ,高音を下げると,低い音が前に出てくる。
10.4
③ コードの種類を決める
ルートがスケールの何番目の音かが分かれば,ダイアトニックコードの並び(第5章)から種類が決まります。
| ルートがスケールの | 1番目 | 2番目 | 3番目 | 4番目 | 5番目 | 6番目 | 7番目 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| まず試すコード | メジャー | m | m | メジャー | メジャー | m | dim |
弾いてみて合わないときは,第6章の型を順に試します。
| 聞こえ方 | 試すコード |
|---|---|
| m のはずの場所が明るく,次に進みたがる | セカンダリードミナント(III7,VI7,II7) |
| IV が途中で切なくなる | サブドミナントマイナー(IVm) |
| ベースは動くのに,上の響きが変わらない | 分数コード(C/E,G/B など) |
| ベースが半音で上がっていく | パッシングディミニッシュ |
| スケールにないルートで,力強い | ♭VI,♭VII |
問2 ベースの音が次のように聞き取れました。ダイアトニックコードだとして,コード進行を答えなさい。
- (1)キー G: G → D → E → C
- (2)キー C: A → F → C → G
- (3)キー F: F → C → D → B♭
- (4)キー D: B → G → D → A
問3 キー C の曲です。次のとき,どのコードだと考えられますか。
- (1)ベースが E。Em を弾くと暗すぎて合わず,明るく次へ進みたがる響きがする。次のコードは Am。
- (2)ベースが F。F を弾くと明るすぎて合わず,切ない響きがする。
- (3)ベースが B。その上で G のコードが鳴っているように聞こえる。
10.5
④ メロディを取る
- 最初の1音を探す。歌ってから鍵盤で探す。
- 次の音は「上がるか,下がるか」「となりの音か,飛ぶか」だけを聞く。候補はスケールの7音。
- リズムは第3章の方法で,カウントのどこで音が出るかを書き取る。
- 取れたら曲と一緒に弾いて,ずれていないか確かめる。
コード譜のサイトは,自分で取ったあとの答え合わせに使うと力が付きます。ギターやベースの人は,ペンタトニックの形を使ってキーを探す方法もあります(別冊 第17章)。
耳コピ記録シート 曲名: キー: テンポ:
| 場面 | コード進行(1マス1小節) | |||
|---|---|---|---|---|
この章のまとめ
- 手順は,キー → ベース → コードの種類 → メロディ。
- キーは,落ち着く音と,曲に合う7つの音から見つける。
- ベースの音が取れたら,まずダイアトニックコードを試す。合わなければ第6章の型。
- メロディは,上がるか下がるか,となりか飛ぶかを聞く。