第13章 アレンジと音作り
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第13章
アレンジと音作り
この章の目標
- バンドの中での各パートの役割を説明できる
- 音がぶつかって聞こえにくくなる理由と,その直し方がわかる
- 場面ごとに「だれが何を弾くか」を決めて,強弱のあるアレンジを作れる
13.1
パートの役割
バンドは,1人ずつが上手に弾くだけではまとまりません。それぞれが受け持つ役割を知っておくことが出発点です。
| パート | 主な役割 | 気を付けること |
|---|---|---|
| ドラム | テンポとノリの土台。場面の切りかえ | テンポを保つ。場面ごとに叩く量を変える |
| ベース | コードのルートを示す。ドラムと一緒にノリを作る | キック(バスドラム)とタイミングを合わせる |
| ギター | コード,リフ,ソロ | 弾きすぎない。歌のじゃまをしない音域を選ぶ |
| キーボード | コードの響きを広げる。メロディの補助 | 左手の低音はベースにまかせる |
| ボーカル | メロディと言葉。曲の主役 | 歌が聞こえることが,バンド全体の基準 |
13.2
音の高さの住み分け
楽器の音は,それぞれ得意な高さ(周波数)の範囲を持っています。おおよその目安は次のとおりです。
図を見ると,中域にギター・キーボード・ボーカル・スネアが集まっていることがわかります。同じ高さの範囲に音が重なると,おたがいを隠し合って,どれも聞こえにくくなります。「音が抜けない」「歌が聞こえない」の多くは,これが原因です。
13.3
引き算のアレンジ
全員が最初から最後まで全力で弾くと,サビが来ても盛り上がりません。場面ごとに「弾く量」を決めて,差を作ります。
| 場面 | ドラム | ベース | ギター | キーボード |
|---|---|---|---|---|
| A メロ | ハイハット中心で静かに | ルートを長く伸ばす | ミュートやアルペジオ | 休むか,長い和音 |
| B メロ | 少しずつ音数を増やす | 動きを増やす | コードを刻み始める | 音域を上げていく |
| サビ | シンバルも使って大きく | 8分で刻む | コードを大きく鳴らす | 高い音域で厚みを足す |
| 落ちサビ | 休む,または最小限 | 休む | 休む,または1人だけ | 歌を支える和音だけ |
「休む」も立派なアレンジです。音が減る場面があると,戻ってきたときの迫力が増します。
ギターが2人いるとき 2人が同じコードを同じ形で弾くと,音がにごって大きくなるだけです。1人は低い位置のコード,もう1人は高い位置の3和音や単音のフレーズ,というように分けます(ギター・ベース編 第15章)。
ベースとドラム ベースの音を出すタイミングを,キックに合わせます。2人のタイミングがそろうと,バンド全体のリズムが1つにまとまって聞こえます。
13.4
音作りの基本
音作りで最初に考えるのは,自分のパートがその場面で目立つべきか,支えるべきかです。つまみの具体的な動かし方,歪みの作り方,エフェクターについては,別冊の第21章にまとめてあります。
- つまみは真ん中から:アンプの BASS・MIDDLE・TREBLE は真ん中から始め,足りない所だけ動かす。
- 歪ませすぎない:歪み(GAIN)を上げるほど,音の輪郭がぼやけて抜けにくくなる。1人で弾いて気持ちいい量より少なめが目安。
- 全員で鳴らして決める:1人で作った良い音が,バンドの中で良い音とは限らない。合わせながら調整する。
- 歌を基準にする:歌詞が聞き取れるかどうかで,全体の音量を決める。
- チューニング:毎回,全員が同じ基準で合わせる。ここがずれていると,ほかをどう直してもにごる。
問1 次のような困りごとに,どんな対策が考えられますか。2つずつ答えなさい。
- (1)低音がもこもこして,ベースの音程が聞き取れない。
- (2)サビで歌が聞こえない。
- (3)サビに入っても盛り上がらない。
アレンジ設計シート 曲名:
| 場面 | ドラム | ベース | ギター | キーボード | ボーカル |
|---|
この章のまとめ
- 役割は,ドラムが土台,ベースがルートとノリ,ギターとキーボードが響き,ボーカルが主役。
- 同じ高さの範囲に音が集まると聞こえにくくなる。高さ・音色・タイミングを分ける。
- 場面ごとに弾く量を変える。休むこともアレンジ。
- 音作りは,全員で鳴らしながら,歌を基準に決める。