転調
この章の目標
- あるキーと関係の近いキー(平行調,同主調など)を言える
- J-POP でよく使われる転調の型を知っていて,弾いて確かめられる
- 新しいキーへのつなぎ方を説明できる
転調とは
曲の途中でキーが変わることを転調といいます。使うスケールが入れかわるので,場面が切りかわったように聞こえます。最後のサビで一段高くなって盛り上がる,B メロからサビで急に景色が開ける,といった効果は転調で作られていることがよくあります。
キーどうしの関係
キー C から見た,関係の近いキーをまとめます。
| 呼び方 | キー C から | 関係 |
|---|---|---|
| 平行調 | Am | 同じ音を使うマイナーキー(♯・♭ の数が同じ) |
| 同主調 | Cm | ルートが同じマイナーキー |
| 属調 | G | 完全5度上のキー(五度圏で右どなり。♯ が1つ増える) |
| 下属調 | F | 完全5度下のキー(五度圏で左どなり。♭ が1つ増える) |
五度圏で近いキーほど共通する音が多く,なめらかに移れます。遠いキーほど,変わった感じがはっきり出ます。
よく使われる転調の型
(1) 半音上げ・全音上げ 最後のサビをまるごと半音または全音上に移します。同じメロディが高くなるので,盛り上がりが伝わりやすい型です。直前に新しいキーの V7 を置くと,自然に入れます。
キー C → キー D♭(半音上げ)
(2) 短3度上へ キー C からキー E♭ へ移る型で,B メロからサビに入るところなどで使われます。キー E♭ は,同主調 Cm の平行調にあたります。第6章の ♭VI → ♭VII(A♭ → B♭)は,キー E♭ では IV → V なので,そのまま E♭ に着地できます。
キー C → キー E♭(短3度上)
(3) 平行調・同主調へ A メロは Am(暗め),サビは C(明るめ)のように,平行調を行き来する曲はとても多くあります。♯・♭ が増えないので,転調と気づかないほど自然です。同主調(C と Cm)の行き来は,明暗がはっきり切りかわります。
(4) 属調・下属調へ 五度圏でとなりのキーへ移る型です。変わる音が1つだけなので,おだやかに雰囲気が変わります。
つなぎ方
転調の入り方には,大きく3通りあります。
- 新しいキーの V7 を置く:行き先の I に向かう V7(その前に IIm7 を置いてツーファイブにしてもよい)をはさむ。
- 共通のコードを橋にする:両方のキーにあるコード(ピボットコード)を通って移る。
- いきなり変える:何もはさまずに変える。おどろきが大きい。
ピボットコードの例です。Am は,キー C では VIm,キー G では IIm です。Am をキー G の IIm と読みかえて,そのままツーファイブワンで G に着地します。
キー C → キー G(属調)
問1 キー G から見た次のキーを答えなさい。
- (1)平行調
- (2)同主調
- (3)属調
- (4)下属調
- (5)半音上
- (6)全音上
- (7)短3度上
問2 次のキーに転調する直前に置く V7 を答えなさい。
- (1)キー D へ
- (2)キー E♭ へ
- (3)キー A へ
- (4)キー D♭ へ
- (5)キー F へ
- (6)キー B♭ へ
問3 キー C とキー G の両方のダイアトニックコード(3和音)に入っているコードを,4つ答えなさい。
問4 キー C の曲の最後のサビを全音上げます。「F → G → C」で終わったあと,新しいキーに入るための V7 と,新しいキーでの「IV → V → I」を答えなさい。
V7: IV → V → I:
この章のまとめ
- 転調は,曲の途中でキーが変わること。
- 平行調は同じ音を使うマイナーキー,同主調はルートが同じマイナーキー。
- 定番は,半音・全音上げ,短3度上,平行調,五度圏のとなり。
- 新しいキーの V7 を置くか,両方のキーにあるコードを橋にすると,自然につながる。