第6章 ノンダイアトニックコード
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第6章

ノンダイアトニックコード

この章の目標

  • ダイアトニックにないコードが出てきたとき,どの仲間かを見分けられる
  • セカンダリードミナントを自分で作れる
  • 丸サ進行,サブドミナントマイナー,分数コード,クリシェを弾いて使える
6.1

キーの外のコード

実際の曲には,ダイアトニックコード以外のコードもたくさん出てきます。これをノンダイアトニックコードといいます。スケールにない音が入るので,その瞬間に色が変わったように聞こえます。でたらめに入れているわけではなく,よく使われる型があります。この章ではその型を順に見ていきます。

6.2

セカンダリードミナント

V7 → I は,進む力の強い動きでした。この「V7 → I」の関係を,I 以外のコードに対しても作ることができます。行き先のコードを仮の I と考えて,その V7 を前に置きます。これがセカンダリードミナントです。

行き先(キー C)Dm(IIm)Em(IIIm)F(IV)G(V)Am(VIm)
その前に置く 7A7B7C7D7E7
度数VI7VII7I7II7III7
スケールにない音C♯D♯,F♯B♭F♯G♯
 

左の進行は,イチロクニーゴー(C → Am → Dm → G)の Am を A7 に変えたものです。A7 の C♯ が半音上の D に進むので,Dm に向かう力が強くなります。

問1 キー G で,次のコードに進むセカンダリードミナントを答えなさい。

  1. (1)→ Am
  2. (2)→ Bm
  3. (3)→ C
  4. (4)→ D
  5. (5)→ Em

問2 次のセカンダリードミナントは,どのコードに進むためのものですか。

  1. (1)キー C の D7
  2. (2)キー C の E7
  3. (3)キー F の D7
  4. (4)キー G の B7
6.3

丸サ進行

セカンダリードミナントを2つ使った,おしゃれな響きの進行です。椎名林檎「丸の内サディスティック」から「丸サ進行」と呼ばれ,Grover Washington Jr.「Just the Two of Us」の名前でも呼ばれます。YOASOBI「夜に駆ける」など,近年の J-POP でもよく使われています。

  • E7 は Am7 に進むセカンダリードミナント。
  • C7 は,くり返して頭の F△7 に戻るためのセカンダリードミナント。
  • 最後を Gm7 → C7 と2つに分ける形も多い(F に向かうツーファイブ)。

問3 丸サ進行(IV△7 → III7 → VIm7 → I7)を,次のキーで書きなさい。

  1. (1)キー G 
  2. (2)キー F 
6.4

サブドミナントマイナー

IV(F)を IVm(Fm)に変えると,ふっと切なくなります。これをサブドミナントマイナーといいます。ルートが同じマイナーキー(キー Cm。同主調という)から借りてきたコードです。

F(F・A・C)→ Fm(F・A♭・C)→ C(C・E・G)と弾くと,A → A♭ → G と半音で下がる線ができます。

キー Cm からは,ほかに ♭VI(A♭)と ♭VII(B♭)もよく借りてきます。♭VI → ♭VII → I は,力強く持ち上がる響きです。

問4 次のキーで,IVm,♭VI,♭VII にあたるコードを答えなさい。

  1. (1)キー G  IVm ♭VI ♭VII
  2. (2)キー D  IVm ♭VI ♭VII
6.5

分数コード

C/E のように斜線で区切って書くコードを分数コード(オンコード)といいます。左がコード,右がベースの音です。C/E は「C のコードを,ベースは E で弾く」という意味です。楽譜によっては ConE や C(on E) と書かれていることもあり,どれも「C オン E」と読みます。

分数コードを使うと,ベースをなめらかに動かせます。

ベース:C → B → A → G → F → E → D → G (1つずつ下がる)

もう1つよく見るのが F/G の形です(キー C)。G の上に F を重ねたコードで,G7 よりやわらかいドミナントとして使われます。

問5 次の空欄に入る分数コードを答えなさい。ベースが1つずつ下がるようにすること。

  1. (1)キー G: G → → Em  (ベース:G → F♯ → E)
  2. (2)キー F: F → → Dm  (ベース:F → E → D)
6.6

パッシングディミニッシュ

ルートが全音離れた2つのコードの間に,dim を入れて半音でつなぐ使い方です。

ベースが C → C♯ → D と半音で上がります。C♯dim7(C♯・E・G・B♭)は,A7(A・C♯・E・G)からルートを抜いて B♭ を足した形と見ることができ,Dm に進むセカンダリードミナントの仲間です。

6.7

クリシェ

同じコードを続けながら,その中の1つの音だけを半音ずつ動かしていく手法をクリシェといいます。

  A → G♯ → G → F♯ と下がる

  G → G♯ → A → B♭ と上がる

コードは止まっているのに,中で線が動くので,イントロや歌の出だしに使うと印象に残ります。

問6 次の進行(キー C)の中から,ノンダイアトニックコードを選び,その種類を答えなさい。

  1. (1)C → E7 → Am → C7 → F → Fm → C

  2. (2)C → C♯dim → Dm → G7 → C

  3. (3)F△7 → E7 → Am7 → Gm7 → C7

この章のまとめ

  • セカンダリードミナントは,行き先の完全5度上の 7 コード。
  • 丸サ進行は IV△7 → III7 → VIm7 → I7。
  • サブドミナントマイナー(IVm)や ♭VI,♭VII は,同主調のマイナーキーから借りたコード。
  • 分数コードは「コード/ベース音」。ベースをなめらかに動かせる。
  • dim は半音でつなぐ役,クリシェはコードの中の1音を動かす手法。
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