ノンダイアトニックコード
この章の目標
- ダイアトニックにないコードが出てきたとき,どの仲間かを見分けられる
- セカンダリードミナントを自分で作れる
- 丸サ進行,サブドミナントマイナー,分数コード,クリシェを弾いて使える
キーの外のコード
実際の曲には,ダイアトニックコード以外のコードもたくさん出てきます。これをノンダイアトニックコードといいます。スケールにない音が入るので,その瞬間に色が変わったように聞こえます。でたらめに入れているわけではなく,よく使われる型があります。この章ではその型を順に見ていきます。
セカンダリードミナント
V7 → I は,進む力の強い動きでした。この「V7 → I」の関係を,I 以外のコードに対しても作ることができます。行き先のコードを仮の I と考えて,その V7 を前に置きます。これがセカンダリードミナントです。
| 行き先(キー C) | Dm(IIm) | Em(IIIm) | F(IV) | G(V) | Am(VIm) |
|---|---|---|---|---|---|
| その前に置く 7 | A7 | B7 | C7 | D7 | E7 |
| 度数 | VI7 | VII7 | I7 | II7 | III7 |
| スケールにない音 | C♯ | D♯,F♯ | B♭ | F♯ | G♯ |
左の進行は,イチロクニーゴー(C → Am → Dm → G)の Am を A7 に変えたものです。A7 の C♯ が半音上の D に進むので,Dm に向かう力が強くなります。
問1 キー G で,次のコードに進むセカンダリードミナントを答えなさい。
- (1)→ Am
- (2)→ Bm
- (3)→ C
- (4)→ D
- (5)→ Em
問2 次のセカンダリードミナントは,どのコードに進むためのものですか。
- (1)キー C の D7
- (2)キー C の E7
- (3)キー F の D7
- (4)キー G の B7
丸サ進行
セカンダリードミナントを2つ使った,おしゃれな響きの進行です。椎名林檎「丸の内サディスティック」から「丸サ進行」と呼ばれ,Grover Washington Jr.「Just the Two of Us」の名前でも呼ばれます。YOASOBI「夜に駆ける」など,近年の J-POP でもよく使われています。
- E7 は Am7 に進むセカンダリードミナント。
- C7 は,くり返して頭の F△7 に戻るためのセカンダリードミナント。
- 最後を Gm7 → C7 と2つに分ける形も多い(F に向かうツーファイブ)。
問3 丸サ進行(IV△7 → III7 → VIm7 → I7)を,次のキーで書きなさい。
- (1)キー G
- (2)キー F
サブドミナントマイナー
IV(F)を IVm(Fm)に変えると,ふっと切なくなります。これをサブドミナントマイナーといいます。ルートが同じマイナーキー(キー Cm。同主調という)から借りてきたコードです。
F(F・A・C)→ Fm(F・A♭・C)→ C(C・E・G)と弾くと,A → A♭ → G と半音で下がる線ができます。
キー Cm からは,ほかに ♭VI(A♭)と ♭VII(B♭)もよく借りてきます。♭VI → ♭VII → I は,力強く持ち上がる響きです。
問4 次のキーで,IVm,♭VI,♭VII にあたるコードを答えなさい。
- (1)キー G IVm ♭VI ♭VII
- (2)キー D IVm ♭VI ♭VII
分数コード
C/E のように斜線で区切って書くコードを分数コード(オンコード)といいます。左がコード,右がベースの音です。C/E は「C のコードを,ベースは E で弾く」という意味です。楽譜によっては ConE や C(on E) と書かれていることもあり,どれも「C オン E」と読みます。
分数コードを使うと,ベースをなめらかに動かせます。
ベース:C → B → A → G → F → E → D → G (1つずつ下がる)
もう1つよく見るのが F/G の形です(キー C)。G の上に F を重ねたコードで,G7 よりやわらかいドミナントとして使われます。
問5 次の空欄に入る分数コードを答えなさい。ベースが1つずつ下がるようにすること。
- (1)キー G: G → → Em (ベース:G → F♯ → E)
- (2)キー F: F → → Dm (ベース:F → E → D)
パッシングディミニッシュ
ルートが全音離れた2つのコードの間に,dim を入れて半音でつなぐ使い方です。
ベースが C → C♯ → D と半音で上がります。C♯dim7(C♯・E・G・B♭)は,A7(A・C♯・E・G)からルートを抜いて B♭ を足した形と見ることができ,Dm に進むセカンダリードミナントの仲間です。
クリシェ
同じコードを続けながら,その中の1つの音だけを半音ずつ動かしていく手法をクリシェといいます。
コードは止まっているのに,中で線が動くので,イントロや歌の出だしに使うと印象に残ります。
問6 次の進行(キー C)の中から,ノンダイアトニックコードを選び,その種類を答えなさい。
- (1)C → E7 → Am → C7 → F → Fm → C
- (2)C → C♯dim → Dm → G7 → C
- (3)F△7 → E7 → Am7 → Gm7 → C7
この章のまとめ
- セカンダリードミナントは,行き先の完全5度上の 7 コード。
- 丸サ進行は IV△7 → III7 → VIm7 → I7。
- サブドミナントマイナー(IVm)や ♭VI,♭VII は,同主調のマイナーキーから借りたコード。
- 分数コードは「コード/ベース音」。ベースをなめらかに動かせる。
- dim は半音でつなぐ役,クリシェはコードの中の1音を動かす手法。